医院開業コラム
看護師採用のプロ直伝 採用NEW STANDARD 第10回
2025.09.24
これまでのコラムでは、採用ブランディングや非常勤採用など、自院の内側から始める採用戦略について解説してきました。しかし、昨今では採用環境が厳しさを増し、発信しても応募がないといった悩みを抱える開業医も少なくありません。
そこで近年注目されているのが、スタッフからの紹介による「リファラル採用」です。以前、たまたまスタッフから紹介された人を採用したことがあるという方もいるかと思います。その偶然を仕組み化し、再現性をもって運用するのがリファラル採用です。外部から応募を待つのではなく、院内スタッフの信頼関係とネットワークを活かす考え方は、これからの時代に即した選択肢になるでしょう。
今回はリファラル採用にスポットを当て、導入のポイントと採用活動への活かし方を解説していきます。
看護師採用の競争が激化する中、当社の顧客からも「月給などの条件はいいはずなのに応募が来ない」「求人媒体に掲載しても応募が集まらない」「SNSを活用しても反応が薄い」といった悩みを多く耳にします。
その理由について仮説を立てると、今の採用市場において看護師の有効求人倍率が業界全体で高止まりしていること、求人関連サービスが増加していることにより、求職者側で一種の慣れが起こっているからだと考えられます。つまり、飲食店を探すときのように、いい職場は紹介や口コミで選ぶという流れが採用市場でも少しずつ強まっているのです。
そうした背景から、リファラル採用が注目されています。リファラルとは「紹介」を意味し、院内スタッフが知人・友人・元同僚などを推薦や紹介して、採用につなげる方法です。紹介は、単なる偶然ではなく戦略的に仕組みとして整えることで、安定した採用手段となり得ます。実際、紹介による採用には以下のようなメリットがあります。
・信頼関係を前提とした人材が集まりやすい
・職場への理解が事前にあるため定着しやすい
・求人広告にかかる費用や時間を削減できる
リファラル採用は応募数を増やす手法ではなく、応募の質を高める手法です。結果として、離職率の低下や職場の安定性に直結します。医療業界においては、これまで「何となく紹介で採用していた」というケースも多いと思います。リファラル採用とは、その“何となく”を再現可能な形で設計し、持続的な採用力に変える手段なのです。
では、なぜリファラル採用はエンゲージメントの高い職場づくりと相性が良いのでしょうか。
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