医院開業コラム
クリニック経営の次のステップ ~法人化・分院展開という選択~ 第3回(最終回)
2025.12.17
分院を開設する際には、メリットとデメリットの両方があります。また、法人化に伴う課題もありますが、重要なポイントを押さえることで、スムーズに進めることが可能です。今回は、分院展開における注意点、手続きの流れ、行政との協議事項について解説します。特に、手続きには余裕を持ったスケジュール管理が不可欠です。
ここでは、必ず押さえておきたいポイントについてみていきます。
分院展開には、地域医療の充実と患者数の増加が期待できるメリットがある一方、人材確保や運営コストの増大が課題となるデメリットがあります。
分院展開は、地域医療への貢献を拡大し、患者の利便性向上につながる大きなメリットがあります。複数の拠点を持つことで、通院しやすい環境を提供でき、患者数の増加や認知度の向上が期待されます。また、医師やスタッフの専門性を活かした役割分担が可能となり、効率的な医療提供体制の構築にも寄与します。さらに、経営面ではスケールメリットを活かし、医療消耗品を大量に仕入れることで単価を引き下げるほか、各分院に必要な管理部門を一か所に集約して運営することで、重複する人件費や設備投資などの削減が可能となります。地域ニーズに応じた柔軟なサービス展開が可能となることもメリットです。
分院展開には多くのメリットがある一方で、いくつかの課題も伴います。最大の懸念は、医師や看護師などの人材確保が難しくなる点です。特に地方では人材不足が深刻で、質の高い医療を維持するための体制構築が求められます。また、複数拠点の運営には管理コストや設備投資がかさみ、経営リスクが増大します。さらに、本院との連携や情報共有が不十分だと、サービスの質にばらつきが生じる可能性もあります。
【分院展開クリニック開設の各種申請期間・締め切り】

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分院を開設する際は、まず本院との連携体制を明確にし、診療方針や業務フローの統一を図ることが重要です。また、医師や看護師、事務スタッフなどの人材確保と育成が不可欠であり、地域の医療ニーズに応じた人員配置が求められます。さらに、資金計画や収支シミュレーションを綿密に行い、初期投資や運営コストに対するリスク管理も必要です。加えて、地域特性や競合状況を踏まえた立地選定も成功の鍵となります。
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