医院開業コラム
看護師採用のプロ直伝 採用NEW STANDARD 第11回
2025.10.07
医療・福祉業界の採用活動では、従来の求人媒体(求人サイト)に加えて、検索エンジン型求人サービスや採用管理システム(ATS)、スキマバイト媒体など、活用できる採用媒体が年々増加しています。
しかし、どれを使うか以上に大切なのが「誰に、何を伝えるか」という設計です。これまでのコラムでもお伝えしてきたように、ペルソナを基にしたターゲット設計や、働くイメージを軸にした採用コンセプトがなければ、どのような採用媒体を使っても効果は限定的です。
今回のコラムでは、代表的な採用媒体の特徴と選定ポイントを解説しながら、条件面を載せるだけでは終わらない“目的別の活用法”をお届けします。
医療・福祉業界で最も一般的に活用されているのが「看護roo!」「ジョブメドレー」「カイゴジョブ」などの専門型求人サイトです。一定の集客力があり、短期間での母集団形成が期待できるため、今すぐ採用したいときの強力な手段になります。
代表的な医療・福祉系求人サイト
■ナース向け
・看護roo!
・ナースではたらこ
・ナース専科転職
・看護師ワーカー
・MCナースネット など
■医療・福祉・介護系全般
・コメディカルドットコム
・ジョブメドレー など
■介護専門
・カイゴジョブ など
医療・福祉業界の求人媒体にはスカウト機能が付帯されている場合が多く、自院の情報を掲載して求職者にアピールする「プル型戦略」と、求職者に直接アプローチする「プッシュ型戦略」を同時に実行できることが大きな強みです。また、採用決定時に成功報酬が発生するケースが多いため、コストを抑えてスタートできるのも大きな特徴です。
その一方、求人媒体は給与やシフトなど条件面の比較が中心になる傾向があり、情報量の多さゆえに他施設に埋もれてしまうリスクもあります。そのため、同じエリア・同じ給与水準の求人が並ぶ中で「どう差別化するか」が重要になります。
このとき問われるのが「何を伝えたいのか」という設計です。自院がターゲットとするペルソナ(人物像)が不明確であったり、働く価値や環境の中身が伝えられていなかったりすると、条件だけで勝負する消耗戦に巻き込まれてしまいます。反対に、ペルソナに基づいたコピーや、写真・動画を活用した魅力的なコンテンツがあれば、同じ求人媒体でも選ばれる理由を届けることが可能です。
さらに、最近では「求人広告=即時採用のための道具」ではなく、情報発信の一部として長期的に活用する施設も増えています。媒体上にスタッフ紹介ページを設けたり、ほかの手段と連動してブランディングの一端を担わせたり、使い方次第で価値が大きく変わるのです。
検索エンジン型の求人サービスは、ユーザーが「地域+職種」などのキーワードで検索した際に、自動的に求人情報が表示される仕組みです。求人媒体に掲載していなくても、自社採用ページの情報が掲載対象となるケースもあるため、広範な露出が期待できます。
代表的な検索エンジン型求人サービス
・Indeed/Indeed PLUS
・求人ボックス
・スタンバイ(Yahoo! JAPANと連携)
・Googleしごと検索(Google for Jobs)
ただし、これらのサービスは医療・福祉業界に特化しているわけではなく、他業種の求人と並列して表示されるため、求職者に響く情報発信がより重要になります。検索結果の表示順位やクリック率を高めるには「職種名」「地域」「働き方」などのキーワードを意識した内容設計が求められるのです。
また、有料課金オプションを活用することで、表示優先度を高める手段もあります。なかでも特に最近注目を集めているのが、Indeedの有料掲載サイト「Indeed PLUS」です。Indeedの有料掲載を適用することで、Indeed上で公開されている求人がほかの採用媒体に自動で連携されます。居住地・職種などのIndeedに蓄積されている求職者データを基に、最適な運用が自動で行われることが特徴です。
このように、同じ検索エンジン型でもサービスによって特徴が異なります。共通しているのは、広範な認知獲得に適しており、表示される情報の質や訴求力が応募数に直結する点です。条件面だけでなく、自院ならではの魅力や働き方が伝わる内容を意識することが、効果を高めるカギとなるでしょう。
ATSは「Applicant Tracking System」の略で、求人媒体・検索エンジン・自社採用ページからの応募者情報を一元管理するための強力なツールです。応募者のステータス管理、面接日程の調整、連絡履歴の記録など、煩雑になりがちな採用実務を効率化してくれます。 (さらに…)
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