医院開業コラム
もやっと先生のための科目別開業ポイント 第8回
2024.06.19
今回は、脳神経外科クリニックの開業のポイントについて解説いたします。他の診療科目より多額な投資資金が必要な診療科目です。返済計画を含め事業計画をしっかりと作成する必要があります。MRIやCTの導入有無によって他のクリニックなどとの連携方法、事業計画が大きく異なってきますので、クリニックのコンセプトが重要になります。開業のポイントに加え開業資金の目安なども記載していますので、開業を検討する際の参考にしてください。
脳神経外科クリニックの開業に必要な開業資金は、磁気共鳴画像診断装置(MRI)やコンピュータ断層診断装置(CT)の導入有無によって大きく異なり、7,000万円~3億円とかなり差があります。MRIのスペックによっても費用が大きく異なり、MRIだけで5,000万~1億円ほど必要です。MRIやCTを導入しない場合は、40坪程度の面積があれば開業できますが、導入する場合は60坪以上必要になりますので、その分賃料が高くなります。また、通常の内装とは別にシールド工事をする必要がありますので、さらに費用が発生します。
医療機器(MRIあり)で7,000万円以上、内装工事費(シールド工事含む)で4,000万円以上、運転資金で3,000万円以上、その他費用(ホームページ制作など)を考えると最低でも1億5,000万円の開業資金が必要です。
画像診断センターとアクセスが良い場合は、連携することでMRI導入費など初期投資額を抑えることができますので、施設との連携が可能な場合は、連携しコストを抑えることを検討してはいかがでしょうか。
【脳神経外科の設備費用】
MRIやCTを導入せずに開業するのであれば、自己資金ゼロで開業が可能な場合があります。
都市部で開業する場合、画像診断センターが以前より増えてきていることもあり、連携が取りやすくなってきています。連携することでMRIやCTを導入しない開業の検討が可能です。必要投資額が多くなったとしても、導入したほうが戦略として良い場合がありますので、十分な検討が必要です。
郊外で開業する場合、MRIとCTを両方とも導入している脳神経外科クリニックもあるため、両方とも導入する必要がある場合もあります。MRIを導入している内科クリニックがありますので、近隣医療機関の調査をする場合は、脳神経外科だけではなく、内科や整形外科などの他の診療科目の導入医療機器も調査するようにしましょう。
郊外であっても、病院と連携が可能な立地であれば、MRIやCTを導入する必要がなく自己資金ゼロの開業が可能な場合があります。
戸建て開業であれば、状況に応じてMRIを導入するために増築が可能な場合があります。
余談ですが、テナント開業、特にマンションの下層部や商業施設で開業する場合、重量やスリーブを空ける必要性などの問題で、MRIの導入が難しい場合がありますので、注意が必要です。
脳神経外科の開業医の平均年収ですが、医療経済実態調査で公表されておらず(その他に包括されている)、損益差額が掲示されていません。そのため、明確な根拠を基に提示するのが難しいですが、2,500万円~3,000万円ほどと考えられます。
MRIやCTなど高額な医療機器を導入している場合、その返済をしないといけません。損益分岐点に達するまでに時間を有しますので、手元に残る金額は他の診療科目より少なくなる傾向にあります。
2012年勤務医の就労実態と意識に関する調査によると脳神経外科の勤務医の平均年収は、約1,480万円と最も高いです。
【勤務医の平均年収】 (さらに…)
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