医院開業コラム
もやっと先生のための科目別開業ポイント 第7回
2024.06.13
今回は、内科のクリニックを開業する際のポイントについて解説します。内科のクリニックは、内科を標榜するクリニックや勤務する医師数が多く、経営戦略をしっかりと検討する必要があります。内科に限ったことではありませんが、クリニックのコンセプトやマーケット調査が重要になります。開業資金の目安や承継開業に関しても記載していますので、内科を開業する際の参考にしてください。
内科クリニックの開業資金は、運転資金と設備資金合わせて7,000万円以上が必要です。内視鏡検査など、実施する検査内容によって導入する医療機器が異なりますし、必要となる面積が異なるため、必要な資金額が大きく異なってきます。循環器内科、呼吸器内科、消化器内科といった専門性も含めてクリニックのコンセプトが重要になります。
自己資金がなくても開業が可能な場合がありますが、運転資金を含めた必要な資金額の1~2割を準備することが望ましいです。いずれにしても事業性をきちんと把握していることが重要ですので、事業計画を作成し、返済計画などに無理がないか確認するようにしましょう。
【内科の設備費用】
厚生労働省(中央社会保険医療協議会)が開示している第58回医療経済実態調査を基に、個人と医療法人に分けて、開業医の年収と大まかな収支構造について解説いたします。
内科(開業医)の年収は、全体が約3,020万円であるのに対して、約2,800万円となっています。内科を受診する人は多く、多くの患者さんを集めやすい状況にある反面、内科を標榜しているクリニックやクリニックに勤務する医師数は、他の診療科目と比較してダントツに多く、競合医療機関との差別化をより図る必要があります。専門性を生かすなどの集患対策や立地選定をしっかりと実施することが重要となります。医師のみではなく、スタッフの評判も集患に影響しますので、スタッフの教育体制を構築するようにしましょう。
損益差額は約1,589万円と、全体の約1,536万円と比較すると高い数値を示しており、診療科目の中で小児科、外科に次いで3番目に高い数値です。その内訳は、売上高17,191万円(医業収益16,468万円、介護収益723万円)、医業・介護費用(支出)15,261万円です。売上の約90%が費用として支出されます。個人の場合と異なり、理事(理事長)の役員報酬が給与費に含まれるということもあり、売上の約50%を給与費が占めています。(個人の場合の給与費は、売上の24%程度)
【内科の収支構造(年間)】
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001197198.pdf
内科の平均診療単価は約850点です。あくまでも平均単価ですので、内視鏡検査といった検査や在宅診療実施有無など、診療内容などによって単価は異なってきます。特に内科は、循環器内科や呼吸器内科、消化器内科などに専門領域がさらに分かれますので、その専門性によっても単価は異なってきます。
「売上」=「外来患者数」×「診療報酬単価」ですので、売上を上げるために外来患者数もしくは診療報酬単価を上げる必要があります。開業後にセミナーなどの集患施策を実施することも重要ですが、クリニックコンセプトをしっかりと作成し、立地選定や導入医療機器選定、ホームページなどWebマーケティングなどの事前準備をしっかりと実施するようにしましょう。
内科クリニックの開業に関するポイントをいくつか記載しますので、開業する際の参考にしてください。
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