医院開業コラム
もやっと先生のための科目別開業ポイント 第4回
2024.06.07
皮膚科の開業を検討するにあたり、注意すべきポイントなどについて解説します。他の診療科目と比較すると、内装設計や医療機器の選定に注意が必要になる診療科目です。美容皮膚科を実施する場合は、特に注意が必要です。開業のポイントや診療報酬単価の低さを補うポイントの他、開業資金の目安なども記載していますので、皮膚科開業の参考にしてください。
皮膚科クリニックの開業資金は、美容皮膚科領域をどの程度実施するかによって必要な資金が異なります。一般的な皮膚科ですと5,000万~7,000万程度必要となります。美容皮膚科領域を実施する場合は、1,000万円以上プラスで開業資金が必要となります。美容系の医療機器をどの程度揃えるかによって大きく費用が異なってきますので、診療コンセプトに沿って計画を練っていきましょう。
【皮膚科の設備費用】
厚生労働省(中央社会保険医療協議会)が開示している第58回医療経済実態調査を基におおまかな収支構造と年収について解説いたします。
【皮膚科の収支構造(年間)】
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001197198.pdf
皮膚科(開業医)の年収は、全体が約3,020万円であるのに対して、約2,792万円となっています。ただし、統計上のデータですので、美容皮膚科領域の内容によって収益も異なってきます。昨今では、保険診療に加えて美容皮膚科(自由診療)を実施する皮膚科クリニックが増えています。自由診療は価格を自身で設定できますので、美容皮膚科の患者さんが増加するにつれて収益も大きくなります。
損益差額は約837万円と、全体の約1,536万円と比較すると低い数値を示しており、整形外科に次いで2番目に低い数値です。皮膚科の人件費の構成比率が54.9%と、整形外科に次いで高く、損益差額が低くなっている要因の一つといえます。医薬品費・材料費計(医材費)の構成比率が10.2%と耳鼻咽喉科、精神科に次いで低く、医材費があまり必要がない診療科目の一つです。
医療法人の場合、理事(理事長)の役員報酬が給与費に含まれますので、個人の場合と比較すると、人件費が高くなります。
皮膚科開業のポイントを5つ解説します。
他の診療科目でも重要ですが、特に皮膚科のコンセプト(方針)は重要となります。保険資料をメインにするか、美容皮膚科領域の治療を実施するかで内装や医療機器、マーケティングが異なってきます。クリニックで実施する治療、実施しない治療を明確化し、ターゲットにする患者層を具体的に検討するなど、まず初めにクリニックのコンセプトをきちんと確定しましょう。このコンセプトを確定しないと開業立地の選定、医療機器の選定、内装設計など他の開業準備も進みませんし、過剰投資や集患に苦戦してしまう確率が上がってしまいます。
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