医院開業コラム
もやっと先生のための科目別開業ポイント 第15回
2025.06.04
今回は、腎臓内科(人工透析)クリニックの開業のポイントについて解説いたします。他の診療科目より多額な投資資金が必要な診療科目です。返済計画を含め、事業計画をしっかりと作成する必要があります。ターゲット層に応じた経営戦略が求められます。中核病院やクリニック、地域との連携の重要性など、開業のポイントや立地選定のポイントなどを記載していますので、開業を検討する際の参考にしてください。
人工透析の実施可否によって、開業資金は大きく異なります。腎臓内科(人工透析)クリニックを開業する場合、1億円以上の設備資金が必要になります。透析システムなど、人工透析に必要な特別な医療機器の導入が必要になりますし、ベッド数によって異なりますが、一般内科のみで開業する場合より+40坪以上広い面積が必要になります(70坪程度)。水質管理や排水を考慮する必要がありますので、内装工事費が比較的高くなる傾向にあります。
通院困難な患者様のために送迎サービスを取り入れているクリニックが多く、送迎を実施する場合、送迎用の車輛費や運転手の人件費が必要になります。
設備資金以外に運転資金が必要ですので、開業資金として1億5千万以上必要で、2億円近くになることも少なくありません。余分な資金投資がされていないか?患者数が十分見込めるか?など、事業性に問題はないか、しっかりと検討していきましょう。
【腎臓内科(人工透析)クリニックの設備費用】
腎臓内科(人工透析)クリニックの開業医の平均年収は、厚生労働省(中央社会保険医療協議会)が開示している第24回医療経済実態調査で公表されておらず、損益差額は不明です。内科の実績では、個人開業医が約2,800万円、医療法人で約1,589万円となっています。勤務医の就労実態と意識に関する調査で、人工透析クリニックの勤務医の平均年収は公表されていません。内科の勤務医の平均年収は約1,247万円となっています。
一般的に、腎臓内科(人工透析)クリニックの収益は、「患者数×単価×透析回数」で計算できます。透析の回数は、症状によって異なりますが週3回(月12回)を目安にすることが多いです。
診療科目の中でも設備に高額な投資が必要な診療科目です。多くの借入が必要になりますので、返済額が高額になります。科目を問わず、新規開業の場合、開業直後は赤字が続くのが一般ですが、返済を考慮したうえで十分な利益を確保できるかどうかが重要になります。
【平均診療報酬単価(1レセプトあたり)】
クリックして拡大版を表示
参照:
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/gyomu/gyomu/hoken_kikan/heikin.html
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/iryo_shido/heikintensu.html
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/gyomu/gyomu/hoken_kikan/index.html
開業を検討するにあたり、重要な立地選びのポイントをいくつか紹介します。開業立地を検討する際の参考にしてください。
この記事をシェアする