医院開業コラム
開業×人材×経営の三重奏 第3回
2026.04.13
開業を控えた先生方とお話していると「事業計画は税理士さんに任せているので、中身はよく分かっていなくて……」という場面に出会うことがあります。たしかに、事業計画の策定は税理士や会計士にご相談いただくのがベストです。餅は餅屋。数字のプロに頼るのが一番確実でしょう。しかし、任せっきりというのも、少し心許ないのではないでしょうか。
事業計画は、クリニック経営の地図です。自分のクリニックの地図を他人に任せ、中身を理解しないまま進めてしまうのは、やはりリスクがあります。細かい数字の作り込みは、税理士や会計士などの専門家に頼っていただきつつ、事業計画を考える上での視点や押さえどころは、先生ご自身にも知っておいていただきたいところです。そうすることで、実際の融資面談でも説明・回答がしやすくなります。
第3回では、事業計画の基本から策定時のポイントまで、事業計画の見方と考え方をお伝えします。
「事業計画」と聞くと、金融機関から融資を受けるための書類をイメージする方も多いでしょう。たしかに、それも役割のひとつですが、本質はそこではありません。事業計画とは「このクリニックは、誰に、どんな医療を提供し、どうやって経営を成り立たせるのか」を整理した見通しです。第1回でお伝えした経営理念が方角だとすれば、事業計画は地図と計器にあたります。どこに向かうかを決めるのが経営理念、どのルートで進むのか、燃料がどのくらい持つのかを示すのが事業計画です。
事業計画がなければ、1日何人の患者さんが来れば黒字になるのか、借入金をいつ頃から返済できる見込みなのか、手元資金がどの段階で厳しくなるのかといった判断がつきません。勘と度胸だけで経営を続けていると、いずれ壁にぶつかります。
また、金融機関から融資を受ける際にも、事業計画は不可欠です。「何となく、このくらいの売上になると思います」では、融資は通りません。根拠のある数字で、クリニック経営の見通しを示す必要があります。

事業計画書のフォーマットはさまざまですが、押さえるべき内容はおおむね決まっています。下記は、事業計画の基本構成です。
・開業コンセプト
開業コンセプトは、第1回でお伝えした経営理念と深く結び付く部分です。なぜ開業するのか、どのような医療を提供するのか、ターゲットとなる患者層は誰か。経営理念がしっかりしていると、コンセプトも自然と明確になります。
・初期投資の見積もり
内装工事費、医療機器、システム導入費、什器備品、広告宣伝費、敷金・保証金、運転資金など、開業に必要な資金の総額を洗い出します。診療科や地域、物件の条件で大きく変わりますが、無床診療所の場合、総額5,000万円〜1億円程度が一般的な目安です。 (さらに…)
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