医院開業コラム
もやっと先生のための科目別開業ポイント 第6回
2024.06.11
今回は、泌尿器科クリニックの開業のポイントについて解説いたします。泌尿器科は、医師が少ないということもあり競合医療機関が少なく、安定した収益を確保しやすい傾向にある診療科目です。科目の特性上、集患に工夫が必要です。検査内容などによって必要な医療機器や必要面積が異なります。開業のポイントに加え開業資金の目安なども記載していますので、泌尿器科の開業を検討する際の参考にしてください。
泌尿器科クリニックの開業資金は、運転資金を入れて8,000万以上必要です。膀胱内視鏡検査といった検査などをどの程度実施するかによって必要となる開業資金が異なります。クリニックを開業するために必要な面積が異なってきますので、医療機器のみだけではなく、内装工事費や賃料なども変わってきます。
運転資金は、賃料が高くなっている傾向にありますのでランニング費用(賃料、人件費など)の6ヶ月分程度を準備しておくと安心です。
大体の内訳は下記の通りです。
① 内装工事費(弱電工事を含む):約3,200万円
② 医療機器(電子カルテ、超音波診断装置、膀胱ファイバースコープなど):約2,000万円
※X線撮影装置など導入する医療機器の種類によっては3,000万円を超える場合もあります。
③ 保証金(賃貸借契約):約500万円
④ 広告宣伝費(ホームページ作成費用など):約150万円
⑤ その他開業資金(什器備品など):約600万円
⑥ 運転資金:約1,800万円
昨今、建築材料費などの高騰により、内装工事費や賃料が高くなっている傾向にあります。
貸室の面積や導入医療機器によって開業資金が1億円を超えることもありますので、しっかりと事業性を検討するようにしましょう。
【泌尿器科の設備費用】
泌尿器科に限らず、クリニックの開業資金の調達の方法の一つとして、銀行融資があります。
都市銀行でもクリニック開業の融資を実施していますが、地方銀行や信用金庫のほうが積極的に実施している傾向にあります。都市銀行に相談する場合は、地方銀行や信用金庫にも相談することをお勧めします。
日本政策金融公庫ですと、女性、若者(35歳未満)、シニア(55歳以上)の場合、金利が優遇されることがありますので、1度ご検討するとよいでしょう。
医療機器の資金調達にリース会社の利用もご検討してみてはいかがでしょうか。
最終的な支払額は高くなる傾向にありますが、リース料は全額経費扱いになりますし、破損時や廃棄処理をする際に対応してもらえます。支払総額、破損リスクなどを考慮し、リースにするか否か検討していきましょう。
自己資金が潤沢にある場合でも、自己資金を全て投資するのではなく、借入(リース含む)をすることをお勧めします。クリニックの経営が想定通りに立ち上がらず、運転資金を調達しないといけない場合、追加融資は新規と比較して融資が受けにくくなるため、自己資金を残していると安心です。
泌尿器科の開業医の年収ですが、医療経済実態調査で公表されておらず(その他に包括されている)、損益差額が不明のため、明確な根拠を基に提示することが難しい状況です。
診療内容などが内科に近く、想定になってしまいますが、平均年収2,000万~2,500万円くらいかと思われます。ただし、開業医の年収ですとばらつきがかなり大きく、年収5,000万以上取得している場合もあります。泌尿器科は競合医療機関が少なく、比較的広い範囲からの患者取得が可能ですので、広告をしっかりとすることで安定した収益の確保がしやすい診療科目です。
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