医院開業コラム
実践 融資道 第5回
2024.03.12
今回から数回にわたり、融資審査のポイントをもう少し詳しくお話させていただきます。第5・6回は「面談編」と題し、融資審査の面談におけるポイントについて解説いたします。面談の際はさまざまな情報が求められますが、人物に関することや資産、事業計画など、一つひとつに注視したいポイントがあり、必要な準備もそれぞれです。主なものをカテゴリー別に説明させていただきますので、順に見ていきましょう。
※なお、文中において意見にわたる部分は、私の個人的な見解であり、所属する組織の見解を示すものではありません。
(1)ご経歴
審査の際には経歴書の提出が必要になることが多いと思います。経歴書は、大学卒業、国家試験合格後どのような経歴(職歴)を経て今に至っているか、その間にどのような経験を積み、資格(認定医、専門医等)を取得されてきたのかなどを確認させていただくためのものです。また、開業後は診療だけでなくクリニックの運営にも責任を持つ立場になられます。雇われ分院長などマネジメントの経験がある場合は記載してください。ご自身を金融機関の担当者に知ってもらう上でプラスになることは、遠慮せずに記載しましょう。
(2)ご家族
ご家族(配偶者、ご両親、義両親、お子様、ごきょうだい)の情報(お名前、住所、ご職業)をお伺いする金融機関が多いです。私は必ず伺うようにしています。金融機関には守秘義務がありますし「家族のことなど聞いてどうするのだろう」と警戒する必要はありません(笑)。別に連絡を取ったり、会いに行ったりすることはありませんので……。では何をするかというと、伺った情報を基に家系図を作って、背景を確認させていただいております。
また、ご家族に医師や医療関係のお仕事をされている人がいるかは、審査にプラスに働くため必ず伺っています。そして、ご家族の情報で一番大事なことは「家族が開業に賛成しているかどうか」という点です。特に配偶者様の理解は絶対条件ですので、配偶者様と一緒に面談ができれば安心です。多くの場合、金融機関の担当者はそこまで確認できませんが、しっかりと理解を得ておいてください。
<参考例>
保証人を求めるケースは、非常に少なくなっています。その場合は配偶者や親など、近しい方に保証人になっていただくことがほとんどです。クリニックの運営に関与しない方を保証人にとることは、めったにありません。例外として、ご夫妻とも医者で一緒に(2診で)開業する場合には、配偶者に保証人になっていただくことがあります。この場合でも、ケースバイケースです。
(1)趣意書
「趣意書」のご提出は、任意としている金融機関が多いです。私もご提出いただいたり、いただなかったり、半々くらいでしょうか。しかし、必ずご提出をお願いしています。なぜなら、先生のお考えがご自身の言葉で書かれたものがあったほうが、審査する人の納得性が高まるからです。趣意書に記載する主な項目は以下となります。
①医師になった理由
②開業する理由
③この開業場所を選んだ理由
④どういうクリニックにしていきたいか
先生の思いを、趣意書でぜひ伝えてください。
(2)得意分野
先生の得意分野を教えてください。これはクリニックの強み、他クリニックとの差別化になるからであり、また担当者としても審査に伝えたいことです。
(3)連携先と競合先
これまでの職歴から連携する医療機関があるのか、どういう連携をしていくのか、また診療圏分析に基づく競合先について、改めて確認させていただきます。
(1)確定申告書・源泉徴収票
原則、直近3年分のご提出をお願いすることが多いと思います。また、配偶者様に収入がある場合は併せてご提出いただけますと大変助かります。ご用意いただく場合、配偶者様は直近1年分で大丈夫です。 (さらに…)
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