夏が終わったと思ったら急に涼しくなりましたね。寒暖差でしょうか、この季節はいつも鼻がグズグズしてくしゃみ連発です。皆さまも、くれぐれも体調にお気を付けてお過ごしください。

開業にあたり金融機関を考える上で、金利は大切な要素です。金利の種類はいくつかに分類できますが、今回はその中から特に知っておいていただきたい「固定金利」と「変動金利」について、解説します。

“金利”とは何か

改めて金利とは何かと申しますと、お金の貸し借りにおいて、借り手（先生方）が貸し手（金融機関）に対し、借入金額に上乗せして支払う「対価の割合」のことです。借り手にとっては得られる資金(借入金)に対するコスト（手数料）の割合であり、貸し手にとっては提供した資金に対する利益（報酬）の割合ということになります。ご存知のとおり、金利はパーセント（％）で表示されます。余談ですが、金融関係者は金利を「ベーシスポイント（bp）」で表現することが多く「1bp＝0.01％」に相当します。

また、利息や利子は金利から算出される金額です。借り手が貸し手に支払うのが利子、逆に貸し手が借り手から受け取るのが利息ですが、立場の違いで呼び方が異なるだけで、両者は本質的には同じです。当然、金利は借り手にとって安い（低い）ほうが、貸し手にとっては高いほうが好ましいことは言うまでもありません。

金利のタイプは大きく分けて2種類

金利には、いくつかの分類があります。先生方に知っておいていただきたいものを絞ると「①固定金利と変動金利」「②基準金利と適用金利」の2種類です。以下で、簡単にご説明させていただきます。

1. 固定金利と変動金利
期間を通じて金利が変化しないタイプを「固定金利」、期間中に金利見直しが行われる可能性のあるタイプが「変動金利」です。固定金利は事前にコストが確定するため安心感はありますが、変動金利より高目の設定になるのが一般的です。固定金利と変動金利のどちらが有利かは、立場（借り手か貸し手か）や金利変化の見通しによって決まります。

2.基準金利と適用金利
固定金利も変動金利も、各金融機関が適当に金利を決めているわけではありません。「基準金利」とは顧客向け金利を設定するときにベースとして用いる金利のことです。「固定金利」では国債金利等が、変動金利では短期プライムレート等が基準となっています。短期プライムレートとは、短期貸出（１年未満）の場合、優良企業に資金を貸し出す際に適用金利の目安となるものです。

この基準金利を基に、個々のお客様への金利を決定します。一般的には基準金利に金利を上乗せしたり、逆に割引したりします。この適用金利は、実際に「具体的に金利は〇〇％」といったように、お客様が実感するものになります。

クリニック開業では変動金利が一般的

よく「固定金利と変動金利のどちらが得ですか？」とご質問をいただくことがありますが、実は、正直申し上げると非常に答えづらい質問です。先の見通しを予想してお話しすることはありますが、あくまでも個人的な考えです。誰も先のことはわかりません。そして、予想と違っても我々は責任をとれません。いろいろと情報を集めていただき、ご自分でご判断いただくしかないというのが実際です。

ただし、金融機関の方とクリニックの借入の話をすると、変動金利を前提とした話になっていることが多いでしょう。ちなみに、私の銀行でもそうです。一般的に民間金融機関では、クリニック開業のような事業資金は変動金利で組み立てをします。クリニックの開業資金の場合は融資期間10年～15年が一般的ですが「全期間にわたって固定金利」というのはあまり聞いたことがないです。一部政府系金融機関や独立行政法人ではこのような全期間固定金利はありますが、そもそも借入可能金額が少なかったり、借入手続が非常に面倒であったりと、あまり利用される方はおりません。

私は説明するときに「うちは変動金利です」と、はっきり申し上げるようにしています。先にご説明した変動金利の基準金利のひとつに、短期プライムレートがあります。実はこの短期プライムレートは、ここ数年変わっていません。ですから、短期プライムレートを基準金利としている変動金利の場合は“固定金利みたいなもの”と思って説明する人がいるかもしれません。

金利が高くなる条件とは

貸し手の立場からすると、金利が高くなるケースまたは金利を高くしたいと考えるケースには、以下の3つが挙げられます。 (さらに…)