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医院開業コラム

開業のタネ

実践 融資道

実践 融資道 第1回

クリニック開業における融資のタイミング(全体的な流れ)と必要な金額とは?

  • 医院開業のポイント

2023.09.14

皆様、はじめまして。静岡銀行で、医療・介護分野を担当しております渡辺と申します。主に東京都内と神奈川県内で、クリニックを開業される先生方への開業資金のご融資をお手伝いさせていただいております。

担当となって間もなく15年となりますが、これまでの私の経験や知識が、これから開業をお考えの皆様に、少しでもお役に立てれば幸いです。もしご縁がございましたら、一生懸命取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

第1回では「開業に至るまでの融資の流れ」や「必要資金の考え方」について、お話させていただきます。

 

開業に至るまでの融資の流れ

まずは、融資の流れを順に見ていきましょう。

【融資実行までのステップ】

 

1. 融資のご相談
まず、銀行に融資のご相談が持ち込まれるルートからお話しさせていただきます。実は、そのほとんどが、銀行が日頃から情報交換をしている業者様を経由してのルートです。先生方が直接銀行窓口にお越しになる、また直接お電話をいただくということはあまり多くはありません。

ご相談のタイミングは、だいたい開業予定日の1年くらい前からが多く、業者様はアイセイ薬局様のような薬局様、医療機器販売業者様、開業コンサル様、税理士法人様の4業種がほとんどです。薬局様や医療機器販売業者様はもちろん医療に精通しておりますし、最近ではクリニック開業に特化したコンサルや、医療専業の税理士法人も多々あります。先生方も、これらの中から経験、ノウハウ、情報量、会社の規模、担当者の熱意や相性、開業後のアフターフォロー、そしてコストを考慮して、お決めいただくかと思います。

金融機関は日頃の活動を通じて、多くの業者様と情報交換をしております。銀行としても承知している業者様、有名な業者様であれば安心です。金融機関では、まだ検討が漠然としており、業者も何も決まっていないという先生方に対しても、フラットな立場でご相談に乗らせていただきます。ぜひ、お声をかけてみてください。

2. 面談
次のステップは、業者様からご紹介いただいた先生との面談です。面談の際には、事前にお願いする融資の書類をご提出いただきます。可能であれば、面談前に書類をご提出いただけますと、事前に目を通すことができるため非常にありがたいです。

面談では、先生の開業に関する考えや、事業計画の説明を受けます。開業に関する考えは、開業の動機、開業地を選んだ理由、どういうクリニックにしたいか、特徴(強み)、近隣の競合状況、連携先などです。事業計画の説明では、患者数、単価の根拠、スタッフ配置の考え方などを、お教えいただいております。これらは業者様のフォローがあっても構いませんので、できるだけ先生ご自身のお言葉で伺いたいと思います。

また、提出書類の主なものは、運転免許証、医師免許証、趣意書、確定申告書(直近3年分)、資産・負債状況のエビデンス、事業計画、見積書、工程表などです。提出書類の中で、審査上、有利になる情報は開示していただくと助かります。もし奥様に収入がある場合は、源泉徴収票や確定申告書、ご家族名義の金融資産のエビデンスなども併せてご提出いただくとよいでしょう。融資に直接関係のないご家族の情報でも、審査上プラスに働くことがあるからです。

しかし、短い時間の面談で、すべてがわかるわけではございません。後日、ご質問させていただくために、連絡先も交換させていただいております。

3. 融資の審査
面談が終わると、いよいよ融資の審査です。金額、金利、そのほかの条件により、本部に提出しないといけないもの、支店長の決裁で足りるものがございますが、おおむね1カ月くらい時間をいただくことになります。途中、追加書類のご提出をお願いさせていただくこともございますので、ご了承ください。

審査結果をお伝えした後は、支店長からのご挨拶や融資の契約書類の取り交わしなど、事務的な作業に移ります。その際には、印鑑証明書が1通必要です。書類が整いましたら、いよいよ融資実行となります。以上が、ご相談から融資実行までの大まかな流れです。

 

融資を受ける際は生命保険の加入が不可欠

もう1つ、融資の審査と並行して決めていただくことがございます。それは、万が一の場合に備えた生命保険です。不測の事態が起きても配偶者様などに債務が相続されないよう、あらかじめ生命保険にご加入いただく必要がございます。今、多くの金融機関では融資の取り上げに際して無保証人扱いで検討しております。このようなことがあってはいけませんが、もしクリニックの運営に失敗し、返済が延滞したり、支払うことができなくなったりしたとしても、先生以外の誰もその責を負いません。

しかし、それぞれ事情は異なるものです。配偶者様は連帯保証人ではありませんが、相続人となります。相続人は相続放棄をしない限り、被相続人の債務も相続しなければなりません。つまり、クリニック開業時に借りた借入を、相続しなければならないのです。ご返済は大変ですし、ご無理な方もいらっしゃるかもしれません。「それなら相続放棄をすればいい」と思うかもしれませんが、相続放棄をすれば資産も相続できず、生活に困ることにもなり兼ねません。

先述したように、あらかじめ生命保険にご加入いただくのは、このようなリスクに備えるためです。ちなみに、生命保険は大きく分けて「団体信用生命保険(住宅ローンを組んだことがある方はご存じかもしれませんが、同じ仕組みです)」または「一般の生命保険(いわゆる〇〇生命、××生命)」にご加入いただくパターンがあります。今、もし十分すぎる生命保険にご加入していれば、その生命保険で条件を満たす場合があるかもしれません。

 

融資の実行方法は2パターン

(さらに…)

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執筆者紹介

渡辺 靖史

渡辺 靖史
(わたなべ やすふみ)

静岡銀行 首都圏カンパニー 医療・介護担当 課長

静岡県出身。平成5年、株式会社静岡銀行入行。複数の支店、ローンセンター、本部勤務を経て、平成20年10月より東部カンパニー医療・介護担当となる。平成25年4月より首都圏カンパニー医療・介護担当。延べ14年を超える期間を医療・介護業界を担当する銀行員として活躍中。これまで数百件のクリニック開業案件を取り上げる。

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