医院開業コラム
実践 融資道 第4回
2023.12.14
早いもので、もう師走ですね。銀行も非常に忙しい月で、新型コロナウイルスやインフルエンザに負けず、今年を終わらせたいものです。少し早いですが、皆さま、どうぞ良い年をお迎えください。
今回は、融資を受けるポイントについてお話させていただきたいと思います。まず、各金融機関は共に医師との取引開始について、非常に前向きに考えております。なぜならば、金融機関にはいろいろなお客様がいる中で、医師はダントツの高属性だからです。属性とは「一般にある事物に共通して備わっているとされる性質や特徴のこと」ですが、金融機関では医師を多くの顧客(事物)の中でも、社会的信用が高く、高収入(性質や特徴)である“高属性の層”という見方をしています。
大変失礼ながら、我々はお客様を属性が高い、低いなどと、勝手にランク付けして考えているのです。他の金融機関も同様ですので、ご容赦ください……。高属性のお客様は、いいお客様またはいいお客様となる可能性が高いと考えられます。どのような商売でも、やはりいいお客様と取引したいですよね。従って、医師からクリニック開業のご相談が持ち込まれた際は、基本的に“前向き”スタートです。“NO”から入ることは、まずありません。私のところにある案件のほとんどすべてが弊行に口座がない方からの相談ですが、それでも“前向き”スタートです。あまり軽く考えられても困りますが、気楽に行きましょう。
審査に必要な書類はいくつかありますが、特に重視するものを2つ説明させていただきます。
1. 事業計画
事業計画書の中には「資金計画(何にいくら必要で、それをどのように資金調達するか)」と「収支計画(毎年の売上、経費、利益の予想)」が盛りこまれていると思います。注意点としては、事業計画書の作成は、コンサル業者任せにしないでください。先生方も必ず目を通して納得した上で、できれば先生方の言葉でご説明いただきたいと思います。収支計画については、銀行に提出するため手堅い計画を作成していただくことがありますが、先生が考える現実的なものを作成していただければ結構です。
2. 資産・負債状況
特に「保有金融資産の多寡」と「投資用不動産の有無」は、必ずチェックが入ります。まず保有金融資産については、一般的に“高収入の医師であれば相応の金融資産があって然るべき”というのが金融機関の考えです。ご家族(配偶者様やお子様)名義のものも含め、一度金融資産(預貯金、株、投資信託、保険、NISAなど)の棚卸しをしてみてください。金融資産が少ない場合、その理由を聞かれるかもしれません。不安な方は、今からでも準備しましょう。また、投資用不動産については、ローンで購入されたのであれば残念ながら審査でプラスに働くことはありません。投資用不動産があっても取り上げたケースは多々ございますが、これから購入をご検討される方は少し見合わせたほうがいいかもしれません。
これらに加え、その他の書類をそろえていただいた上で、面談させていただきます。場合によっては書類は後で、面談が先ということもございます。先ほど申し上げた通り、金融機関は取引を前向きに考えていますので、気楽な気持ちで結構です。開業の動機、開業場所を選んだ理由、競合の状況、クリニックの特徴、どういうクリニックにしたいかなどを、ご説明ください。その際には、開業趣意書のようなものがあると助かります。繰り返しにはなりますが、事業計画書の内容については最低でも大まかなことはご理解いただき、先生の言葉でご説明いただけると、なおいいと思います。
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