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医院開業コラム

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クリニック経営者のための医療ICT活用メソッド

クリニック経営者のための医療ICT活用メソッド 第56回

「医療DX」の現状と将来像

  • 医院開業のポイント

2023.01.20

2023年1月から始まる「電子処方箋」。それに続き、現在2023年4月の「オンライン資格確認の義務化」に向けて、準備が急ピッチで進められています。電子処方箋は政府が進める“医療DX政策”の第二弾であり、最終的には全国で医療情報をやり取りできる環境整備が行われようとしているのです。

そこで今回は、政府が推進する背景や、その狙いなど、関心が高まる「医療DX」について解説していきます。

 

「医療DX」により従来の医療サービスが変わる

近年「医療DX」という言葉をよく耳にするようになりました。「DX」とは「Digital Transformation」の略で「デジタル化による社会変革」を意味します。今や医療は電子カルテやレセコンといった院内のデジタル化を進めるITのステージから、デジタルを活用して業務改革および社会改革を進める“DXステージ”に入っているのです。

2023年1月から始まる「電子処方箋」も、政府が進める医療DX政策のひとつです。しかし、この政策は、これまで紙で発行していた処方箋を電子化すること自体が目的ではありません。処方データのデジタル化は、医師・薬剤師・患者さんが薬の情報をリアルタイムに共有し、医療の質向上につなげようとする試みです。

具体的には、電子処方箋の導入により、複数の医療機関・薬局をまたいだ処方薬の一元管理や、重複投与や併用禁忌などのチェックも行われるため無駄な薬の削減も可能になります。その結果、政府は医療費の抑制につなげようとしているのです。

 

コロナ禍で医療DXが加速化

2020年1月から始まった新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染拡大は、わが国の医療サービスに大きな変革をもたらしています。新型コロナの感染に対する「恐怖」から一時的な受診抑制が生まれ、国民は長引く行動規制を余儀なくされました。その間に、オンラインショッピングなど、デジタル社会が一気に進んだのです。

そのような中、政府は矢継ぎ早に、医療DXを進めるプランを提示しています。オンライン診療の時限的な規制緩和に始まり、その後の恒常化によって、オンライン診療、オンライン服薬指導、薬の配送と、すべてオンラインで完結する仕組みが確立しました。

また、医療機関・薬局・患者さんを結ぶネットワークを構築するため、オンライン資格確認による電子認証の仕組みが構築されました。政府は処方データを皮切りに、最終的にはカルテのデータに至るまで共有できる社会システムを構築しようとしています。

この急速な医療DX政策の背景には、コロナ禍で露呈したデジタル化の遅れに対する危機意識があります。新型コロナという未知のウイルスによる恐怖が、遅々として進まなかった医療サービスのデジタル化による変革を、加速させるきっかけとなったのです。

 

政府が進める“医療DXの狙い”とは

では、政府がここまで医療DXの推進にこだわる意図は、どこにあるのでしょうか。 (さらに…)

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執筆者紹介

大西 大輔

大西 大輔
(おおにし だいすけ)

MICTコンサルティング株式会社
代表取締役

一橋大学大学院MBAコース修了後、医療コンサルティングファーム「日本経営」入社。2002年に医療ITの展示場「MEDiPlaza」を設立し、3拠点の統括マネージャーに就任する。2013年「電子カルテ・クラーク養成講座」を開講。2016年に独立し「MICTコンサルティング」を設立する。現在は広島県にある穴吹医療福祉専門学校の非常勤講師を務め、過去3,000件を超える医療機関へのシステム導入の実績から、医師会、保険医協会などの医療系の公的団体を中心に講演活動および執筆活動も行う。また、診療所・病院のコンサルティングにおいて、看護師、リハビリスタッフ、事務員に対して、診療報酬点数、診療録の記載などの指導にも取り組んでいる。

MICTコンサルティング株式会社のWebサイトはこちら

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