医院開業コラム
クリニック経営者のための医療ICT活用メソッド 第54回
2022.11.14
2023年1月から始まる「電子処方箋の開始」、2023年4月の「オンライン資格確認の義務化」と、政府は医療DX(デジタル トランスフォーメーション)を急ピッチで進めようとしています。そのような流れの中で、クリニックも医療DXに対応する必要が出てきているのです。
そこで今回は、デジタル化を進めるために知っておきたい「デジタルシフトの作法」について解説します。
長引くコロナ禍で「新しい生活様式(ニューノーマル)」が提唱され、手指の消毒やマスク着用、3密対策(密集・密閉・密接)が恒常化しました。クリニックは院内感染の恐れから、安心で安全でなければ患者さんが来院しない時代が到来しています。
そのため、診療予約システムやWEB問診、オンライン診療などの普及が進んでいます。新たな患者ニーズの変化に対応するべく、デジタル化に取り組むクリニックが増えているのです。
新型コロナは、わが国の「働き方」にも大きな変化をもたらし、リモートワークや在宅ワークといった、デジタルを活用した「働き方改革」が進んでいます。一方で、医療の世界でも「働き方改革」が進んでいるかと考えると、あまり変わっていないように感じます。
例えば「オンライン診療」を始めても、対面診療に比べて大きな業務効率化にはつながっておらず、デジタルが苦手な場合は、かえって業務が増えているようです。また、オンライン診療システムを導入しても、活用できていない診療所も多く、デジタル化の恩恵を享受できていないのではないでしょうか。
このような状況下で、クリニックは経営の基本に立ち戻り、自らの状況を鑑みる時期が来ていると感じます。患者さんが減っている今、本来であれば仕事が減少し、忙しさが軽減していなければならないはずです。しかしながら、急速に進むデジタル化の波(オンライン資格確認など)に翻弄され、新たに対応が生まれることで、患者さんが減っても仕事が減らないという方もいらっしゃるかと思います。
デジタル化には「タスクシフティング」と「システム化」の2つの面があると考えます。クリニックにおいて医師に集中しがちな業務を「ヒト」に分担するのが「タスクシフティング」であり、「コンピュータ」に分担するのが「システム化」です。
今まさに、業務分担を見直す時期がやってきています。開業時に業務分担を決め、その後もそのまま継続しているケースがほとんどです。業務分担は、いったん決まるとなかなか見直すタイミングがなく、ずるずると進んでしまいます。
仮に、院長に仕事が集中していて業務分担の見直しが行われていないならば、新業務も院長が担当することになり、院長の忙しさは変わらずに苦しいままです。このように見直しに踏み切れない状況で「デジタル化対応」という新しい仕事が増えるときこそ、見直しの絶好のタイミングなのです。
クリニックにおける業務分担を、以下のステップで見直してみましょう。
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