医院開業コラム
クリニック経営者のための医療ICT活用メソッド 第55回
2022.12.12
2023年4月から開始される「オンライン資格確認義務化」に続き、2024年秋には現在の保険証を廃止し、“マイナ保険証に一本化する”案が示されています。
今クリニックは、政府が進める医療DX政策に対応すべく、準備を急ピッチで進める必要があるのです。そこで今回は、間近に迫る「オンライン資格確認義務化」と「保険証の廃止」について解説します。
2022年6月7日に閣議決定された『骨太の方針2022(経済財政運営と改革の基本方針2022)』を踏まえ、2023年4月からオンライン資格確認の原則義務化が決定されました。
また、2022年9月に改正・告示された『医療機関及び保険医療養担当規則』では、保険医療機関・薬局で患者さんが「マイナ保険証」を提示した場合、患者さんの受給資格の確認を、2023年4月からはオンライン資格確認によって行わなければならないことが定められています。
例外として義務化を除外されるのは、現在「紙レセプト」での請求が認められている保険医療機関・保険薬局(全国で4%程度)のみです。そのため、ほとんどの保険医療機関・薬局は、マイナ保険証に対応できるよう、2023年3月末までに必要な体制を整備しなければなりません。
政府による義務化の発表を受け、医療機関・薬局では対応を急ぐ動きが強まりました。システムの導入作業を行う業者からも、非常に混雑している状況が報告されています。また、マイナンバーカードを読み取るために必要な「顔認証付きカードリーダー」の申し込みについても、従来の受注に応じて生産する受注生産方式から、2022年8月24日以降は受注前に生産を行う事前生産方式に変更されています。
『医療機関等向けポータルサイト』では、11月16日時点における事前生産の申込締切を2022年11月末と公表(パナソニック製は事前生産台数の上限に達したため受付終了)し(※1)、補助金申請の締切に関連して、駆け込みでの申し込みが殺到しました。
(表)顔認証付きカードリーダーの事前生産について
出典:医療機関等向けポータルサイト(支払基金)
(注1) 最新の情報は出典元の情報をご確認ください。
河野太郎デジタル大臣は、2022年10月13日の記者会見で、2024年度秋を目途に現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を示しました。
マイナ保険証は2021年3月からすでに開始されており、これまで政府はマイナンバーカードへの一体化を“将来的に”目指すとしていました。しかし今回は、その具体的な時期が示されたことになります。
オンライン資格確認が普及した世界では、クリニックの受付業務に変化が生じます。普及前と普及後で、どのように異なるのでしょうか。現在の状況と比較しながら解説していきましょう。
1. 新患の場合
(さらに…)
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