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開業ロードを走り抜け マネートレーニング教本 第5回

個人事業主の節税方法

  • 財務・経理・会計

2022.11.17

回は「個人事業主の節税方法」について、お話させていただきます。開業後、順調にクリニックが成長して利益(もうけ)が出るようになると、避けられないのが納税です。「税金をできるだけ減らしたい!」こう考えない先生はいないと思います。

個人事業主が納付する税金は、所得税、住民税、消費税、固定資産税(償却資産税)などさまざまです。その中から所得税と住民税に的を絞り、個人事業主が利用できる基本的な節税方法をご紹介したいと思います。

 

①小規模企業共済

勤務医とは違い個人事業主には退職金がないため、老後の資金(退職金の代わり)は自分で準備しなければなりません。そこで利用されるのが「小規模企業共済」です。

この制度は、個人事業主が退職金を「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」に積み立てるというものです。掛金は月額1,000円から70,000円まで自由に設定可能で、全額が所得控除になるため、大きな節税効果が期待できます。では、以下の例をもとに算出してみましょう。

■ケース1:掛金を月額70,000円に設定/税率50%(所得税40%+住民税10%)の場合
・70,000円×12カ月=840,000円
・840,000円×50%=420,000円
→420,000円の節税

所得税率は所得の大きさによって変動しますが、上記の場合、840,000円の支出で納付する税額が420,000円減るわけです。そのため、実質420,000円の支出で、840,000円の積み立てが可能になります。

しかし、加入期間が20年に満たない場合の元本割れリスクや、積み立てたお金を退職金で受け取る際など、注意しなければならない点もあります。加入する前に、税理士に相談したほうがよいでしょう。

 

②ふるさと納税

ふるさと納税も先生方からよく受ける質問ですが、これは節税というより「所得税・住民税の前払い」と言ったほうがイメージしやすいかと思います。ふるさと納税とは、住んでいる自治体に納めるべき税金を、自分で選んだ自治体に寄附できる制度です。住んでいる自治体に納税するのとは違い、返礼品を受け取ることができます。

■ケース2:ふるさと納税を100,000円した(還元率を30%と仮定)。
・100,000円-2,000円=98,000円
※ふるさと納税額から2,000円を差し引いた額が控除額になります。
→所得税と住民税の税額が、合計98,000円少なくなる

上記に加え

・100,000円×30%=30,000円
→30,000円分の返礼品を受け取れる

上記のケースでは、100,000円のふるさと納税を行うことで、所得税と住民税が合わせて98,000円少なくなる上に、30,000円分の返礼品を受け取ることができます。返礼品の分だけ得となりますので、気になった返礼品がある自治体に寄附をしてみてはいかがでしょうか。

ただし、ふるさと納税は所得額に応じて限度額が定められており、この限度額を超えると超えた部分は所得税と住民税の減額効果がなくなってしまうため、注意が必要です。勤務医時代の給与とは違い、クリニックの収入や経費は毎月定額ではありません。限度額を算定する際は税理士に相談し、限度額を超えないように気を付けましょう。

 

③住宅ローン控除

(さらに…)

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執筆者紹介

清水 祐太

清水 祐太
(しみず ゆうた)

ペンデル税理士法人
医業経営支援部課長 兼 事業戦略支援室室長

1984年生まれ。早稲田大学卒業後、2006年に現職のペンデル税理士法人に入社。医業関連顧客に特化した医業経営支援部に所属し、多数の医科・歯科クリニックの開業・経営・M&A・事業承継コンサルティングを経て、現在は病院コンサルティングまで幅広く支援している。

ペンデル税理士法人のWebサイトはこちら

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