医院開業コラム
トレンドウォッチャーによる医療ITスマート実況 第4回
2025.02.21
前回お伝えした予約システムと同様、もしくはそれ以上にコロナ禍で「レジ・精算機」が大きく注目されるようになったのは、皆さんも実感があると思います。『日経メディカル開業サポート』がセミセルフレジ・自動精算機の導入の有無についてアンケート調査を行った結果、2023年時点において「すでに導入している」クリニックは6.5%、「導入しようと思っている」クリニックは5.5%で、計12%でした。
12%と聞くと「そんなに多くないな」と思われるかもしれません。しかし、同調査を「開業経過年数別」に集計した結果を見ると、開業10年未満では「すでに導入している」または「導入しようと思っている」クリニックが40%弱、「制度や補助金等の状況を見て導入を検討したい」クリニックを含めると、60%以上という高い興味を示していることがわかります。
※出典:『日経メディカル開業サポート』セミセルフレジと自動精算機の導入率https://nm-kaigyo.nikkeihr.co.jp/career_labo/practice/014/
また、コロナ禍直後と現在では、導入する目的も市場も大きく変化しています。今回は特徴や選定ポイントなど「レジ・精算機」のトレンドについて、詳しく見ていきましょう。
レジ・精算機は、電子カルテや予約システムと比べると医療業界特化の機能が少なく済むことから、比較的、他業種から参入しやすい分野だといえます。OEM商品(企業が他社から委託を受けて製造した他社ブランドの商品)を含めると数え切れないメーカーが存在しているため、特徴や差が分かりづらく、選定に迷うシステムではないでしょうか。
そこで、まずはシステムの概要と市場性を簡単に整理してみます。レジ・精算機は、会計処理タイプによって、セミセルフレジとフルセルフレジ(自動精算機)の2つに分けられます。
セミセルフレジ
スタッフが会計処理を行い、患者さんが対面で支払いのみ行う方式
フルセルフレジ(自動精算機)
スタッフが会計処理を行い、患者さんが単独で会計を行う方式
10年ほど前は、全体の件数は少ないながら、セミセルフレジよりもフルセルフレジ(自動精算機)のほうが多く導入されていました。その理由には、医療業界に特化したフルセルフレジ(自動精算機)が登場し、その他の商品が少なかったことにあると思います。しかし、直近ではフルセルフレジ(自動精算機)よりも、セミセルフレジの導入割合が多い傾向です。これは、両者のコストと、削減できる業務量のバランスによるところではないでしょうか。
フルセルフレジ(自動精算機)とセミセルフレジのコストを比較すると、フルセルフレジ(自動精算機)のほうが倍近くかかる場合が多いです。しかし、実際はそのコスト差ほど削減できる業務量の差が見い出せるケースは多くないと思います。
レジ・精算機を検討される際「セミセルフレジとフルセルフレジ(自動精算機)ってどう違うの?」と迷われる方が多いかと思います。次に、大まかにそれぞれの業務フローと特徴を整理してみましょう。
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