医院開業コラム
トレンドウォッチャーによる医療ITスマート実況 第3回
2024.12.25
クリニックにおける予約システム市場は、コロナ禍をきっかけに最も変化したもののひとつといえるのではないでしょうか。コロナ禍前までの予約システムは、予約制を導入したいクリニックのみが採用するシステムといった印象が強く、予約制自体に消極的なクリニックも多くありました。
しかし、コロナ禍をきっかけに来院患者数および時間をいかにコントロールするかが求められるようになりました。現在、診療科目を問わず、予約システムを検討されるクリニックが急増しています。なかでも、新規開業クリニックにおいては高い割合で導入されており、都市部では体感で8割ほどのドクターが導入を検討されているようにも思えます。今回は、予約システムのポイントや予約システムに求められるものなど、予約システムのトレンドを解説していきます。
患者接点の重要性が増し、予約システムは「予約した人を管理するシステム」から、いかに効率よく診察枠を埋めるアシストができるかという「売上を左右する重要なシステム」へとニーズが変化してきています。このような現状から、老舗メーカーと新興メーカーのシェアが大きく変動しているのです。
予約システムは膨大な数のメーカーが存在しており、その中から最適な予約システムを選ぶことは困難を極めます。まずは、大まかに予約システムのジャンル分けをしていきましょう。
次に、予約システムを導入する際のポイントをいくつかご紹介します。
1. 電子カルテとの連携
導入にあたり、電子カルテと予約システムの連動を気にされるクリニックは多いでしょう。私たちがご相談をいただく際も、多くの先生方が「電子カルテ一体型の予約システムのほうが、連携がシームレス」と思われています。しかし、実際は電子カルテ各社と予約システム各社の基本となる連携内容は、ほぼ同様です。
基本となる連携内容は以下のとおりです。
・患者属性(頭書)連携
電子カルテで登録された患者さんの個人情報、保険情報を予約システムと共有する
・受付情報連携
予約した患者さん、または実際に来院した患者さんを電子カルテの受付一覧に反映させる
参考までに、メーカーにより差が出る連携例もお伝えします。
・予約システムに仮登録された新患データを電子カルテに取り込む
・患者さんのステータス(受付、診察、会計、終了など)を共有する
2.予約システムの運用の提案レベル
予約システムを導入する場合は、これから運用を決める、または現状の運用に課題があるかのどちらかになると思います。どちらのケースも、診療内容、患者数、院内導線から効率のよい予約枠の組み方、管理方法などをしっかりイメージできていないと、せっかくシステムを導入したのに「うまく回らない」「患者さんを待たせてしまう」といったトラブルにつながることがあります。
重要なことは、メーカーのプレゼンが“機能の説明”ではなく“運用の提案”になっているかです。予約管理は非常に奥が深いため、プロのアドバイスから先生方のイメージが湧くかが最重要といえるかもしれません。
ここまでは、基本的な選定ポイントについて触れてきました。この数年で予約システムに求められるものが変化してきており、今後さらに変化していくことが予想されます。続いて、予約システムに求められるものが何なのか、具体的に見ていきましょう。
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