医院開業コラム
開業ロードを走り抜け マネートレーニング教本 第6回
2022.12.08
先生の中には、先に開業された先生方から後々「医療法人になった」と聞いたことがある方も少なくないと思います。個人のクリニックと医療法人は、業務や資金など、さまざまな面で異なるものです。今回は医療法人とは何なのか、また医療法人化するとどのようなメリット・デメリットがあるのかについて、お話しさせていただきます。
「医療法人」とは、医療法の規定に基づき、病院、医師または歯科医師が常時勤務する診療所や介護老人保健施設の開設を目的として設立される法人を指します。株式会社は自由に事業を行うことができますが、経営の安全性が保障されないという理由から、病院・診療所等の開設は原則不可とされています。そのため、医療機関が法人として病院・診療所等を運営する場合は、医療法人もしくは一般社団法人の設立が必要です。
また「医療法」とは、国民の健康を保持することを目的として定められた法律です。医療法人にはさまざまな種類がありますが、2007年の医療法改正以降、資金調達に基金制度を採用している「持分の定めのない医療法人」が一般的になりました。医療法人を設立する際は、この医療法に基づいた定款等を作成し、各都道府県知事から認可を得なければなりません。医療法人の設立にはメリットとデメリットが存在するため、以下で具体的に見ていきましょう。
①税率差や所得の分散により税負担を軽減できる
個人と法人では、以下の図のように税率が異なります。
(図1)所得税と法人税の税率構造
個人の場合は所得税と住民税で最大55%の税金がかかりますが、法人の場合は800万円までは約20%、それを超えた分は約30%です。そのため、同じ利益が出たとしても、税率差により税負担を軽減することができます。
例えば所得が4,000万円の場合、法人と個人(役員報酬)に所得を分散させることで、年間約778万円の節税になります。
※所得控除は考慮していません
(図2)個人事業時と医療法人成後の税負担
②家族を理事にすることで税負担を軽減できる
(さらに…)
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