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医院開業コラム

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開業風林火山 開業サポート衆が語る12の鉄則

開業風林火山 開業サポート衆が語る12の鉄則 第4回

第4回 理想の診療・集患はエリアと物件が左右する ~プロが教えるチェックすべき条件と上手な選び方~(後編)

  • 医院開業のポイント

2022.12.08

クリニック開業に向けた具体的なステップとポイントを、アイセイの開業コンサルタントが伝授するシリーズ『開業風林火山』。第4回のテーマは、第3回の前編に引き続き「開業エリア・物件の選定と診療圏調査」です。

第3回では、エリア選定の基準やコツ、そして物件選びの基本についてご紹介しました。今回は、実はあまり知られていない物件選びの重要な注意点や、エリア・物件選びには欠かせない診療圏調査の概要と活用方法について説明していきます。お伝えするのは前回と同じく、500件超の開業支援実績を持つ高坂氏と、前職を含め全国各地で物件開発を行ってきた上田氏です。

 

【プロフィール】高坂 博之(こうさか ひろゆき)
約25年間で500軒を超えるクリニックの開業を支援してきたベテランコンサルタント。内科から皮膚科、整形外科、小児科や脳外科まで、あらゆる科目のクリニックのコンサルティング経験を持つ。また、税務や法律、採用など知識の幅が広く、さまざまな角度から開業・経営をサポートしている。

 

【プロフィール】上田 茂夫(うえだ しげお)
前職では、全国にサービスを展開するネイルサロンの店舗開発に従事。東名阪や福岡、仙台を中心に、駅ビルや百貨店などの商業施設への出店を進めてきた。人を集められるテナントの見極めを得意としており、かつ各地域の特徴に関する知識も豊富。現在は、再開発エリアにおける医療モールの企画を数多く担当している。

 

物件契約の際は“開業すること”をゴールにせず、長期的な目線を持って

――第3回(前編)の内容をふまえ、物件選定についてさらに詳しく教えてください。“見落としがちな物件選びのポイント”はありますか?

高坂:契約条件は見落としがちな点のひとつではないでしょうか。物件を借りる際は、賃貸借契約を結びます。賃貸借契約には、借り手が意思表示しない限り契約が自動更新される「普通建物賃貸借契約」と、決められた期間を満了したら契約を新たに結び直す「定期建物賃貸借契約」があること、そしてクリニックを開業する場合はほとんどのケースで定期建物賃貸借契約になることは、本シリーズの第2回でも触れました。
物件を契約する段階では、さらにもう一歩踏み込んで解約要件を必ずチェックしましょう。基本的に定期建物賃貸借契約では解約ができず、借り手の都合で期間中に退去する場合は残賃料の満額を支払わなければなりません。しかし、交渉すれば「契約◯年目以降は、保証金を払えば解約可能」という条件をつけられることもあります。
クリニック開業でテナントを借りる場合、契約期間は最低でも10~20年ほどになるものです。契約期間終了後の交渉権については、ぜひとも契約書に記載したいですね。

上田:もし普通建物賃貸借契約になる場合は、更新料を忘れずに確認してください。「他の候補より安い賃料が魅力だったのに、更新料も加味したら金額的なアドバンテージがなくなってしまった」ということが、まれにあります。あとは、契約において最も優先される特約事項は、すべて理解するようにしましょう。こうした細かい点は、やはりプロと読み合わせをしながら確認することがおすすめですね。

高坂:契約内容を確認する際は、将来の展望と照らし合わせるといいですよ。例えば法人化を考えているなら、必ずオーナーに「今は個人契約だが、いずれは法人契約に切り替えたい」と伝えて了承をとっておく。すると「法人化のタイミングで“契約者変更”のため再契約となり、一旦解約したとみなされて敷金が全額消却となってしまった」などという事態も防げます。“開業すること”が目的になっていると、こうした点を見落としてしまうんですよね。

上田:先を見通すという意味では、経済条件についても家賃の額面だけで考えないようにしてほしいですね。家賃が高めの物件でも、集患力が高ければ、長期的に見ると収益が多くなりますから。これはエリア選定にもいえることなので、ぜひ意識してみてください。

 

理想の物件に巡り会えない原因は“コンセプトが曖昧なこと”

――理想の物件になかなか巡り会えないリスクについては、どのように考えればいいでしょうか?

上田:まずは、物件探しに充てる時間を十分に確保しておきましょう。“十分”と感じられる具体的な時間は人によって異なりますが、コンサルティングをスタートしてから物件を決めるまで、一般的には半年から1年ほどかかります。最低でもそれくらいは見込んでおかないと、さまざまな選択をすべて即決しなければならないような状態になってしまいます。
一方で、3年近くかかるような場合は、時間の経過に伴って状況が変わることを理解しておかなければなりません。例えば再開発があったり、競合が開業して大成功していたりすると、エリアの変更が必要になることもあるでしょう。

高坂:いくら物件を見ても「これだ!」というものに出会えない、候補物件の気に入る・気に入らないポイントを明確に言葉で説明できないという場合は、コンセプトがしっかりまとまっていない可能性が高いです。判断基準が曖昧だと、そもそも自分にとって理想の物件がどのようなものかがわからず、時間ばかり過ぎてしまうことに……。心当たりがある方は、物件探しをストップして、もう一度コンセプトと向き合ってみるといいかもしれません。

 

来患数の予測を立てる診療圏調査。アイセイ薬局では“リアル”を追求

――開業エリア、物件の選定で使われる「診療圏調査」とは、具体的にどのようなものですか?

上田:ざっくりいうと、“開業後にどれくらいの来患が見込めるか”について調べることです。決められたエリアの夜間・昼間人口や年齢分布、およびそれらの推移、医療機関の数などの観点でデータを集め、開業場所としてふさわしいかを分析します。なお、この調査や分析のやり方は、業者によって実にさまざまです。ここでは、当社における診療圏調査について、内容やこだわりの一部を抜粋してご紹介します。
(さらに…)

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