医院開業コラム
クリニック経営者のための医療ICT活用メソッド 第48回
2022.05.11
クリニックにとって、今も昔も「スタッフ教育」は盤石な組織づくりを目指す上で非常に大切です。一方、長引くコロナ禍は医療の世界に「急速なデジタル化」をもたらしています。クリニックが求めるスタッフ像に変化が見られ、教育の在り方も見直しが必要です。そこで、今回は「デジタル時代の人材育成」について解説します。
昨今の少子高齢化の影響で、クリニックでは人手不足が深刻な問題となっています。ただでさえ医療業界は女性の多い職場であり、結婚や出産のタイミングで離職が起きやすい環境です。クリニック経営者は、スタッフが離職するたびに採用活動を行う必要があります。この問題を解決するためには、スタッフにできるだけ長く勤務し続けてもらう「環境づくり」に他なりません。この環境づくりこそが「スタッフ教育」なのです。
先述した通り、コロナ禍の長期化により、医療界は急速なデジタル化が求められています。新型コロナウイルスの陽性者数の報告、集計や、昨年2月から始まったコロナワクチン接種の予約、実施報告など、さまざまな場面でデジタル化の重要性を痛感するシーンに遭遇しているのではないでしょうか。今や「パソコンが苦手」「ITが苦手」と言っていられない状況にあるのです。このような中で、クリニックのスタッフ像にも変化が見られ、教育の在り方も見直しが必要になっています。
今の若者は、生まれたときからパソコンもスマホも当たり前に存在しており、デジタル機器を普通に使いこなすことが可能です。普段のコミュニケーションもLINEなどのSNSを簡単に利用し、「電話のほうが苦手」という方も少なくないでしょう。こういった生まれながらデジタルに馴染んでいる世代の人たちを「デジタルネイティブ」と呼びます。
彼らの特性を知り、よく理解することが重要です。例えば、ホームページやSNSの管理を任せると、意外な才能を発揮したりします。また、趣味で動画の作成ができる方もいます。デジタルマーケティング全盛の時代、彼らに「広報担当」として役割を任せることも可能なのです。
一方で、デジタルに馴染みすぎていて、パブリックとプライベートの境界線が曖昧なことも特性のひとつに挙げられます。つまり、個人情報やセキュリティの意識が低いのです。この点についてはトレードオフの関係にありますので、クリニックへの入職当初から医療が取り扱う情報が“いかに公共性が高いのか”、我々が取り扱っている情報が“いかにセンシティブな情報なのか”をしっかり教えておくことが大切になります。「個人情報保護」と「セキュリティ」に関する教育は、必ず行ってほしいものです。
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