医院開業コラム
クリニック経営者のための医療ICT活用メソッド 第5回
2018.10.10
診療所に来院する患者さんが順調に増え、ある程度の患者数になると、待合室が患者さんで溢れる機会も増加します。この状況を「混んでいるのだから仕方がない」と放置していると、患者さんから「待ち時間が長い」といったクレームが起きてしまうのです。
そこで、患者さんの待ち時間を緩和するために、診療予約システムの導入に踏み切ることになります。そもそも、診療予約システムは「待ち時間の短縮」や「混雑の緩和・分散」を目的に導入が進められてきました。近年ではホームページと連携して、「新規患者の獲得」に活用する診療所も多く見られます。
また、かつて診療所には“予約システムは予約制でなければ導入しない”という流れがありましたが、徐々に変わってきています。予約の取り方には、「時間」と「順番」の2タイプがあります。時間に加えて「順番予約システム」が普及したことにより、“診療所に合わせた予約システムの選択”が可能になりました。
この理解が進むことで、増患ツールとしての認知も相まって、開業当初から導入するケースが増えているのです。最近では、時間と順番の中間的な位置づけとなる「時間帯予約」という仕組みも登場してきています。
最初に世に出た診療予約システムは、「時間」をベースにした予約システムでした。例えば、10分ごとなどの時間枠を設けて、患者さんを管理していきます。この方法のメリットは、時間通りに診察を進めることができれば、予約時間に来た患者さんは待たずに診療を受けられる点です。
1日8時間診療を行うとすると、1時間に6人、8時間で計48人の患者さんを時間通りに診療できます。医師やスタッフにとっても、枠を埋めることと、突然のキャンセルにさえ目を光らせておけば、診療をスムーズに進められるというメリットがあるのです。
しかし、診療所に予約枠以上の患者さんが来る場合、すぐに予約枠がいっぱいになってしまい、今度は「予約が取れない」というクレームにつながっていきます。患者さんの診察は状態によって時間のばらつきがあるため、予定時間の超過は起こり得ることです。
徐々に予約時間が後ろ倒しになると、「予約時間に来ても待ち時間が発生する」というクレームが出てしまいます。この問題を改善するために、新しい予約システムが開発されていきました。それぞれの仕組みやメリットについて、順を追ってご紹介しましょう。
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