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開業×人材×経営の三重奏

開業×人材×経営の三重奏 第5回

スタートダッシュに差がつく「開業前の広告戦略」

  • 医院開業のポイント

2026.06.09

開業相談の中で「開業の準備が整ったら、チラシを撒けばいいですよね」といった言葉を耳にすることがあります。物件・内装・採用・届出と、開業準備はやることが山積みです。「広告は最後に考えればいい」と後回しになってしまう気持ちは、よく分かります。

しかし、開業日に患者さんが来なければ、どれだけ準備が整っていても意味がありません。開業前の広告戦略は、クリニックの出発を左右する重要な経営判断です。チラシを「撒く」だけでは、もはや通用しない時代でもあります。

第5回では、開業前にやるべきこと・注意すべきことを整理しながら、開業前に取り組むべき広告戦略の考え方と具体的な手段をお伝えします。

 

広告の目的は「存在を知ってもらう」こと

開業前の広告には、明確な目的があります。それは、地域の方々に「このクリニックが、もうすぐここで開院する」という事実を知ってもらうことです。

どれだけ良い医療を提供できるクリニックでも、存在を知られなければ患者さんは来ません。特に、開業初期は口コミや評判が積み上がっていない状態からのスタートです。広告によって「知ってもらう」ことが、患者さんに足を運んでもらうための第一歩になります。

ここで大切なのは、第1回でお伝えした経営理念との一致です。広告戦略は、経営理念の延長線上にあります。どんな患者さんに来てほしいか、自分のクリニックは何が違うのか、この問いに答えられなければ広告のメッセージは薄くなってしまうのです。

 

開業前広告は「いつ・何を・どこで伝えるか」が重要

開業前広告は、大きく「タイミング」「メッセージ」「媒体」の3つで考えます。

  1. タイミング

開業前の広告活動は、開業の2~3カ月前から動き始めるのが理想です。遅くとも1カ月前には地域への告知が始まっていることが望ましいです。内覧会を行う場合は、その告知も含めてスケジュールを組みましょう。

2. メッセージ
広告に載せる内容は「診療科・場所・開業日・診療時間・連絡先」という基本情報だけでは不十分です。なぜここで開業したのか、どんな患者さんのためにどんな医療を提供するのか、クリニックらしさが伝わるひと言があるかどうかで、反応は大きく変わります。経営理念を平易な言葉に落とし込んだ“キャッチフレーズ”があると理想的です。

3. 媒体
現在、クリニックの開業前広告に使える媒体は多岐にわたります。それぞれの特性を理解した上で、組み合わせて活用することが重要です。

 

開業前に活用すべき広告媒体

では、どのような手法があるのか、主要な広告媒体とその特性を見ていきましょう。

ホームページ(公式サイト)
ホームページは、開業前広告の中で最も重要な媒体です。現代の患者さんはクリニックを知った際に、必ずと言っていいほどホームページを確認します。「開業準備中」の状態でも、開業1~2カ月前には公開しておきましょう。

掲載すべき内容は、以下のとおりです。

  • 院長のプロフィール
  • 診療方針
  • 診療科目
  • アクセス
  • 診療時間
  • 開業日
  • 問い合わせ先

特に、院長のプロフィールと診療方針は「このクリニックに任せたい」と思ってもらえるかどうかを左右します。写真は必ず掲載し、文章は堅苦しくなりすぎないよう心がけてください。

併せて、ぜひ活用してほしいのが「お知らせ欄」です。工事の進捗状況や内装の仕上がりを写真付きで定期的にアップすることで、開業前からホームページへの訪問動機が生まれます。

さらに、写真に「待合室はこういう狙いでこの色にしました」「診察室の動線をこう設計した理由は……」といった説明を添えると、見ている方がクリニックづくりに一緒に関わっているような感覚を持ってもらえます。この積み重ねが内覧会や初診時の親近感を大きく高め「どこかで見たことがある、知っているクリニック」という安心感につながるのです。

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執筆者紹介

松田 邦彦

松田 邦彦
(まつだ くにひこ)

医療法人社団ワッフル 事務長
株式会社ひとのえん 代表取締役

東証一部上場企業にて、コールセンター運営に従事。様々な企業からのアウトソーシングを受託し、継続案件から新規立ち上げ、スポット業務まで幅広く携わる。その後、医療法人梅華会にて理事長の右腕であるマネージャーとして医療法人の組織運営や現場運用における仕組みづくりを行い、法人の多店舗経営や新卒採用、経営企画室を安定的に稼働させる組織を作り上げる。現在は医療法人社団ワッフルの事務長として、小児科、病児保育室の運営基盤を支えると共に、クリニックにおける事務長の存在価値の啓蒙や、事務長からなるコミュニティ「Clinic Management Consortium(クリニック・マネージメント・コンソーシアム)」を立ち上げ、情報交換の場の提供や質の向上にも注力している。

 

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