医院開業コラム
クリニック空間設計思想~共通の軸と、科目別アプローチ~ 第3回
2026.07.03
内装にかかる金額は、入居するテナントの形態により大きな違いが出ます。今回は、テナントの形態を、スケルトン、事務所仕様、居抜きの3つに分け、それぞれの注意点やメリット・デメリットについて説明していきたいと思います。
テナント形態は大きく分けて、①スケルトン、②事務所仕様、③居抜きの3タイプです。
①スケルトン

テナントの床・壁・天井が、むき出しになっている状態です。この場合、内装工事と設備工事を一からすべて作っていきます。
②事務所仕様


テナントの床・壁・天井が完成している状態です。照明やコンセント、空調、トイレや流し台などの衛生設備が備え付けてあり、机などの什器を設置すれば事務所としてすぐ使用できます。
③居抜き

前オーナーの内装が残っている状態を指します。
一般的に、備え付けの設備を流用できる②事務所仕様のほうが、内装工事費用を抑えられると思う方も多いでしょう。衛生設備(トイレ、手洗い、流し台)などは、流用できる設備の代表例です。反対に、①スケルトンはゼロの状態からすべて準備しなければならず、高額な内装費用がかかるイメージを持たれる方が多いと思います。しかし、実際にはそこまで安くならないことがほとんどです。
その理由について、既設テナント設備の具体例を挙げて説明していきます。
■照明器具
照明器具は、新品もしくは比較的新しい器具であれば再利用できます。蛍光灯は診察室、処置室、裏動線、院長室やスタッフ室などで設置され、待合室やトイレなどはダウンライトが使用されるケースが多いです。築年数の古いビルだと、既設の照明器具が使い回されて黄ばみや汚れが目立ち、再利用がためらわれます。
また、2027年度末に蛍光灯の製造・輸出入が終了する点にも注意しましょう。古い照明器具には天井埋め込み式のタイプもありますが、これを移設する場合、撤去時に天井に穴が開いてしまい、塞ぐための補修工事も発生します。

■エアコン
照明器具と同じく、天井カセット型エアコンも移設の際に天井に穴が残ります。②事務所仕様の場合、複数台のエアコンで大きな空間の温度を調整するのが一般的です。
一方、クリニックの場合は、大きなエアコンを設置しません。診察室、処置室、レントゲン室、院長室、スタッフ室など細かく部屋が分かれており、小さな部屋に大型空調機を入れると、温度調整や風量調整が困難になるからです。既設のエアコンを使用できるとしても、待合室や広めの処置室など限定的になります。
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