ドクター開業相談専用ダイヤル

受付時間(平日)10:00〜17:00

03-3240-0253

医院開業コラム

開業のタネ

看護師採用のプロ直伝 採用NEW STANDARD

看護師採用のプロ直伝 採用NEW STANDARD 第1回

「看護師が採用できない!」「採用コストが高い!」と感じる要因を解説

  • 労務・人事
  • 医院開業のポイント

2024.12.16

昨今の日本では、超高齢化社会の影響を受け、医療・福祉業界全体で看護師の確保が大きな課題となっています。医療・福祉業界に従事するほぼすべての皆さんが、一度は看護師の人材採用に何かしらの課題を感じたことがあるのではないでしょうか。

しかし、ここ数年間の看護師国家試験の受験者数は、20年ほど前と比べると増加傾向にあり、看護師の資格保有者が増加傾向であることも事実です。厚生労働省の調査(※)によると、看護師資格保有者数(准看護師・保健師・助産師を含む)は、約200万人近く存在するとされています。
※参照:厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」

第1回となる当コラムでは、医療・福祉従事者の採用課題と、難航している採用活動の要因を問題提起していきます。

 

2030年労働力問題と採用コストの高騰で疲弊する医療・福祉業界

日本の総労働需要に対し、全業界で644万人の人手不足が予測されている「2030年労働力問題」が日本の大きな社会課題として話題になっています。2030年労働力問題とは、2025年以降、団塊の世代が後期高齢者になることで、日本の労働人口が極端に減少すると予測されている問題です。パーソル総合研究所が行った研究では、2030年までに労働人口は下図のように減少すると推計されています。

【2030年までの人手不足の推移】参照:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」

同研究における産業別の結果を見ても医療・福祉業界の人手不足は顕著であり、全業界で2番目に多い187万人と予想されています。そのため、今よりもさらに採用市場の「競争激化」が起きることは容易に予測でき、大きな社会問題として認識されているのです。

人手不足に伴い、採用コストも高騰の一途をたどっています。医療・福祉業界の採用手法の中で、最もポピュラーな採用手法のひとつに「人材紹介」があります。人材紹介エージェントを介し、事業者と看護師の人材をマッチングするサービスです。福祉医療機構の調査(※)では病院の約77%が利用しているという結果が報告されており、個人経営のクリニックや介護施設などの他業態を含めると、さらに利用率は高まるでしょう。
※参照:福祉医療機構「病院の人材紹介手数料」に関するアンケート調査

人材紹介サービスは、病院のニーズに合った即戦力の採用が期待できる一方で、紹介手数料が医療・福祉事業者の大きな負担となっています。実は、紹介手数料は年々徐々に上がり続けているのです。同調査によれば、近年における紹介手数料の相場は採用者の年収の20%ほどで設定されていることが多いようですが、10年ほど前は採用者の年収の10~15%が相場だったという声もあります。最近では、大手人材紹介エージェントを利用する際、年収の30%で契約しているというケースも多く耳にするようになりました。

また、全日本病院協会の調査(※)では、加盟する病院の医業収益に占める人材紹介の手数料総額の比率も年々上昇傾向と発表されており、採用コストの高騰と、それによる事業運営の圧迫が問題視されています。採用コストの高騰は、大規模な総合病院であっても健全な事業運営への影響が懸念され、個人経営のクリニックや介護施設であれば、さらに無視できない問題になるでしょう。
※参照:公益社団法人全日本病院協会「医師の人材紹介平均手数料は352万円、看護師は76万円」

 

潜在看護師と働き方の多様性の加速

冒頭で、看護師国家資格の受験者数の推移を基に、看護師資格保有者が増えていることをお伝えしましたが、現場ベースでは看護師の採用が激化しています。その要因のひとつとして挙げられるのが「潜在看護師」です。潜在看護師とは、看護師資格を保有しているものの、看護師として働かないことを選択した人を指します。

2020年には、看護師資格保有者数約200万人のうち、80万人近くが潜在看護師であるという調査結果(※)も発表されました。年齢別に見ると、30~34歳では約10万人(潜在率36.9%)、35~39歳では約11万人(潜在率36.0%)です。この年代の主な理由として、結婚や出産といったライフサイクルの変化が考えられます。しかし、ほかの年代においても20%以上の潜在看護師が存在し、医療・福祉業界での就業を選択していません。
参照:厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業) 「新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因と エビデンスの検証についての研究」 分 担 研 究 報 告 書(令和 2 年度)

潜在看護師は突然増加したものではなく、10年以上前から70万人ほどで推移しているとされています。その要因は各時代背景によって左右されるため一概には言えませんが、昨今の特に若年層の潜在看護師は、看護師以外の働き方や、ワーキングホリデー制度を活用した海外で働く選択肢が容易に見つかる時代になったためではないかと推測します。

ここ数年でSNSは大きな発展を遂げ、個人利用のみならず企業アカウントも多く運用されるようになりました。現代は医療・福祉業界以外の世界や働き方の情報に触れることが容易であり、独学で他業界への転職を前提としたスキルアップが可能な時代です。そこに日本全体での人材不足が影響し、業界・職種未経験でも受け入れる企業が増えている傾向があることから、看護師も異業種にチャレンジしやすい環境が整っています。そのため、医療・福祉業界でも、採用競合となる相手は同業だけではなく、視野を広げる必要があるでしょう。

 

転職市場の活性化がもたらす「人材の流動性」と、その対策

(さらに…)

これより先は、会員の方のみ
ご覧いただけます(登録無料)

この記事をシェアする

執筆者紹介

株式会社NURSY

株式会社NURSY
(ナーシー)

有料職業紹介事業・人材募集に関する情報提供サービス・研修事業

2021年に設立した医療系HRテックスタートアップ。「日本の看護師不足を解決する」をビジョンに、看護師専門の人材紹介エージェント事業を展開し、総フォロワー数20万人を超えるSNSマーケティングの手法が評価され、事業を大きく成長させる。2022年には、採用コンサルティングサービス「NURSY REACH」をリリースし、約1年で取り扱い者数は100社を突破。

BtoC及びBtoBの両面から支援し、日本が抱える大きな社会問題の解決を目指している。

株式会社NURSYのWebサイトはこちら

開業物件情報

開業に関するお問い合わせ

ご相談だけではなく、医院構想の計画フェーズも親身にサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

開業に関するお問い合わせ

セミナー・イベントのお申し込み

医院開業や開業後のクリニック経営におけるお悩みについて、随時セミナー・イベントを開催しています。

セミナー・イベントのお申し込み