医院開業コラム
もやっと先生のための科目別開業ポイント 第10回
2024.07.19
今回は、耳鼻咽喉科の開業ポイントなどについて解説します。子供から高齢者まで幅広い層の患者さんが来院する診療科目です。花粉症の時期は、かなり多くの患者さんが来院します。特に繁忙期は、待合で患者さんが長時間待つケースがあるため、待ち時間に関する対応が重要なポイントのひとつになります。開業のポイントや開業資金の目安、成功事例を記載していますので、耳鼻咽喉科クリニックの開業の参考にしてください。
耳鼻咽喉科クリニックの開業資金は、設備資金と運転資金を合わせて8,000万円以上必要になるケースが多いです。医療機器の費用は、CTの導入有無によって金額が大きく異なりますが、導入しない場合、ユニットや電子カルテ、電子スコープなどで2,000万以上必要です。耳鼻咽喉科クリニックを開業するのに必要な面積は、35坪前後です。資材費や作業の人件費が高騰した影響で、内装工事費が以前より高くなっており、2,400万円以上必要です。必要な設備資金のほとんどを医療機器と内装工事費が占めています。先生が提供したい医療を提供するために必要な設備を過不足ないよう検討していきましょう。
【耳鼻咽喉科の設備費用】
厚生労働省(中央社会保険医療協議会)が開示している第58回医療経済実態調査を基に、個人と医療法人に分けて、大まかな収支構造と年収について解説します。
耳鼻咽喉科(開業医)の年収は約2,968万円と、平均的な数値を示しています(全体では約3,020万円)。しかし、売上に対する構成比率をみると、皮膚科、精神科に次いで3番目に高く、収益率の高い診療科目といえます。耳鼻咽喉科は、新型コロナウイルスの影響で売上が減少した診療科目の一つです。今後は流行の影響を受けにくいクリニック戦略が求められます。
損益差額は約1,021万円と全体の約1,536万円と比較すると低い数値を示しており、整形外科、皮膚科に次いで3番目に低い数値です。医薬品費・材料費計の構成比率が7.6%と最も低いです。導入する医療機器の種類は少なくありませんが、内科などと比べて費用がかからない傾向にあるため、減価償却費が低くなる傾向にあります。
医療法人の場合、理事(理事長)の役員報酬が給与費に含まれますので、個人の場合と比較して、人件費が高くなります。
【耳鼻咽喉科の収支構造(年間)】
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001197198.pdf
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