医院開業コラム
開業ロードを走り抜け マネートレーニング教本 第11回
2023.06.05
こんにちは!ペンデル税理士法人でございます。昨今、後継者不足による診療所の第三者承継や、医療法人の相続対策に関するご相談が増えてきています。そこで「個人事業主・医療法人の承継上の注意点」と「医療法人の相続対策(認定医療法人制度)」のポイントを絞り、2回に分けてお伝えいたします。
ひとえに“承継”と言っても、個人診療所の承継か、医療法人の承継か、親族への承継か、第三者への承継かにより、注意すべきポイントは異なるものです。今回は、個人診療所と医療法人の承継の注意点等を解説していきます。
まずは、承継全般におけるメリット・デメリットを確認していきましょう。売り手側と買い手側のメリット・デメリットには、下記のものが挙げられます。
【売り手側と買い手側のメリット・デメリット】
①親族への承継
・診療所の土地、建物および医療機器等事業用資産の取り扱い
賃貸、譲渡、贈与のいずれかの方法で承継を行うことになりますが、借主と貸主が生計一親族かどうかにより税務上の扱いが異なるため、顧問税理士に確認することお勧めします。
※「生計を一にする」とは「日常の生活の資を共にすること」をいいます。(参照:国税庁)
・スタッフの承継または解雇
そのまま雇用を継続するのか、または一から新しいスタッフを募集するのか、どちらの場合でも、先生ご自身のお考えをスタッフの皆さんに伝えると共に、十分コミュニケーションを取り、双方でわだかまりが残らないように努めることが重要です。
②第三者承継
第三者承継の場合は、①以外に営業権(のれん)の設定をどうするかといった問題を考えなければなりません。営業権とは「表に現れていない潜在的な価値(超過収益力)」を指し、第三者に対する承継時にはクリニックの土地建物や医療機器等の固定資産の価額に、営業権をプラスして売却することとなります。なお、営業権の評価に関してはM&Aを手がけている専門家にご相談することをお勧めします。
③各種届出、各種契約の巻き直し
・賃貸借契約書、リース契約書等の契約の巻き直し
・前院長による「廃業手続き」、新院長による「開業手続き」が必要
■手続例
前院長:「診療所廃止届」「保険医療機関廃止届」の提出
新院長:「診療所開設届」「保険医療機関指定申請書」の提出
また、税務上も上記同様に前院長の廃業手続き、新院長の開業手続きが必要です。
■手続例
前院長:「事業廃止届出書」等の提出
新院長:「個人事業の開業届出書」「青色申告承認申請書」等の提出
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