医院開業コラム
イソノ医院の承継記 第2回
2016.12.15
イソノ医院のナミヘイ院長は75才を過ぎ、後継者に悩んでいます。実は10年前にも家族で話し合いが行われたのですが、決定打はなく、後継者は決まらないままでした。
最近のナミヘイさんは、お年のせいかお疲れ気味です。先月より土日に加えて、木曜日も休診日となったイソノ医院。奥様のフネさんも、今後のイソノ医院がどうなるのかと不安が募ってきました。
こうして、イソノ医院は、次回3月の医療法人申請に向けて、家族で話し合いを進めていきました。名称は『医療法人ISONO』と決まり、理事長にナミヘイ、理事にフネとサザエとカツオとワカメと決まりました。このときまでは、すべてが順調に進んでいるようでした。ナミヘイの健康診断結果が出るまでは……。
次回につづく
医療法人は、病院やクリニックが永続的に継続していくために(ゴーイングコンサーン)政策上認められた法人制度です。医療法人になると法人税法が適用され、個人事業のときの所得税法とは税体系が異なります。一定の利益を超えると、法人税率の方が所得税率よりも低くなります。そして役員報酬や役員退職金により所得分散が可能になります。
また、後継者が決まっていないクリニックでは、医療法人化しておくことにより、事業承継がスムーズにいくことがあります。例えば、個人事業だと、万が一院長が死亡したときに廃業するしか選択肢はありません。しかし、医療法人であれば、医師でない奥様が一時的に理事長になることができます。その間に親子間承継や第三者承継(M&A)をする時間を稼ぐことができます。その他、分院開設や介護事業への展開を検討するクリニックには医療法人によるメリットが大きいといえます。
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