医院開業コラム
開業医のための「医院経営相談外来」 Q.11
2016.10.14
クリニックの経営や人生設計を考えるには、多岐にわたる情報や知識が必要です。また、相談に応じるには、相手の立場を理解して十分なコミュニケーションをとる力が必要です。そのような、ジェネラリスト的な力を持った人がいないかを探してみましょう。
私がこれまで多くのドクターの相談を受け、お手伝いをしてきてわかったこと。それは、信頼できる相談相手がいないために、日々悩んだり困ったりしているドクターが大勢いらっしゃるということです。
院長先生はクリニックを開院すると、日々の診療だけではなく、次のような業務を行っていくことになります。
また、医業経営だけではなく、家族のライフプランを含めた人生設計や必要資金の確保、リスク管理、相続対策など、様々なことを考えて行動することが必要になります。これらすべてを含めて「経営」といいます。
自分で開院するということは、複数のスタッフを抱えたクリニックの経営をひとりで行うということです。どんなに優秀なドクターでも、初めての経営をいきなりやって上手くいくはずはありません。
先生方は医学部時代には朝から晩まで医学の勉強をし、勤務医時代も朝から晩まで医療に携わってこられたと思います。その間、経営や財務などについて勉強や経験を積むことはほとんどなかったでしょう。勤務医の先生が開院をするということは、ビジネスを経験したことがない人がいきなり会社を設立して、複数の社員を抱える会社の社長になるのと同じことです。
このようなことは一般的なビジネスの世界ではあまり聞きませんが、医療の世界では不思議なことに今も行われています。その結果、クリニックを開院しても、わからないことや解決できないこと、問題が山積みになり、先生方の不安やストレスがどんどん蓄積されていってしまいます。そして、「現状がどうなっているのか分からない、課題が何か分からない、何がわからないのか分からない」と悩んだり困ったりしている先生方が大勢生まれているのです。そんな状態でも、日々の診察はしていかなければいけないわけですから、想像するだけで相当なストレスです。
医業経営のことで困った時、会計・税務は税理士さんに相談し、人事関係は社会保険労務士さん、広報はマーケティング会社へ……と、その都度それぞれの専門家に頼っていると思います。そして、専門家に相談すれば、医業経営や人生設計などを総合的に考えてくれて、自分にとって適切なアドバイスをしてくれると、期待されているのではないでしょうか。
しかし、残念ながらそのような専門家はなかなかいません。なぜならば、専門家(スペシャリスト)は特定の分野についてとても深い知識を持っていますが、ほかのことについてはほとんど知らないことが多いからです。だからこそ専門家(スペシャリスト)と呼ばれているのです。
一方、ジェネラリストは、スペシャリストに比べて特定の分野の知識は深くありませんが、先生の目の前にある様々な選択肢の中から、選ぶべき最良の道や、先生方が望むことを実現するためにどんなスペシャリストがよいかを提案してくれます。ですから、医業経営においては、経験したことがない・知らないことについての判断を仰ぎ、日々の困惑・心配・ストレスなどを解消するために、ジェネラリストの力を借りることが有効です。外部から第三者の冷静な視点でアドバイスできる人がいると、ドクターひとりで経営をするよりも、医業経営もドクターのライフプランも上手くいくのではないでしょうか。
イメージとしては院外にいながら経営幹部として活動する「院外経営幹部」です。私自身、このようなコンセプトで仕事をしてまいりました。
ただ、「どうやってこの様な人材を探せば良いのか、よくわからない」という人もいるでしょう。信頼できる人に紹介してもらったり、インターネットで探したり、という方法もあると思います。
また、その様なジェネラリストのイメージが浮かばない方には、私の共著である以下の本をおすすめします。税理士さん向けの本ですが、医業専門のコンサルタントがどのような仕事をしているのかを少し理解していただけるのではないかと思います。
税理士のための医業顧客獲得法
ぜひ、医業経営や人生設計をともに進めるための、良いパートナーを見つけてください。
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