医院開業コラム
BEGIN from HERE― 新規開業・承継開業、それぞれの始め方と手続き― 第2回
2026.10.20
個人クリニックの承継開業は、新規開業とは異なり、既存の患者さんやスタッフ、設備を引き継ぐことができる点が大きな特徴です。一方で、保健所や厚生局への行政手続きだけでなく、診療録(カルテ)や電子カルテ、賃貸借契約、従業員との雇用契約など、多くの事項について確認や準備が必要になります。
また、開業準備の進め方によっては、診療開始時期や保険診療に影響が生じる可能性があります。今回は、個人クリニックを譲受して承継開業する場合の手続きの流れと注意点について解説します。
個人クリニックの承継開業では、まず承継日(新体制による診療開始日)を決定し、その日から逆算して各種手続きを進めていきます。
新規開業とは異なり、患者さんやスタッフ、設備を引き継ぐことができる一方で、保健所や厚生局への行政手続きだけでなく、診療録(カルテ)や電子カルテ、賃貸借契約、従業員との雇用契約など、多くの事項について確認・調整が必要になります。
また、保険診療を継続して実施するためには、保険医療機関指定に関する手続きが重要になります。承継日が決まった段階で、管轄の保健所や厚生局へ相談し、必要な書類や提出期限を確認するようにしましょう。手続きの遅れや書類の不備によって、診療開始時期や保険診療に影響が生じる可能性があります。
個人クリニックの承継開業では、行政手続きだけでなく、診療録(カルテ)や電子カルテ、契約関係、スタッフ対応など、多くの準備を並行して進める必要があります。承継日から逆算してスケジュールを立て、計画的に準備を進めるようにしましょう。
【手続きの流れ】

個人クリニックの承継では、診療所の場所や設備をそのまま引き継ぐ場合でも、開設者が変更されるため、新たに保険医療機関の指定を受ける必要があります。
一般的に、保険医療機関の指定日は指定申請を行った翌月1日となります。一方で、一定の要件を満たす場合には、例外的に指定期日の遡及が認められる制度があります。令和8年6月5日付の厚生労働省通知により、遡及指定の取扱いが整理されています。
ただし、遡及指定は個別事案ごとに判断されるもので、個人クリニックを承継する場合において、必ず認められるということではありません。承継日が決まった段階で厚生局へ相談し、必要な手続きや提出期限を確認するようにしましょう。保険診療開始時期は収支計画にも大きく影響するため、十分な余裕を持ったスケジュール管理が重要です。
診療録(カルテ)の取扱いについて事前に十分確認しておく必要があります。
診療録には患者さんの診療情報が記録されており、継続した診療を行ううえで欠かせない情報です。一方で、患者さんの個人情報や要配慮個人情報が含まれるため、その取扱いには十分に配慮して取り扱う必要があります。
電子カルテを利用している場合には、契約変更の要否やデータ移行の方法、システム切替日などを事前に確認するようにしましょう。また、診療開始日に支障が生じないようにデータ移行後の動作確認を忘れずに実施しましょう。
紙カルテを利用している場合には、保管場所や管理方法、保存期間などについて確認しておきましょう。承継方法によって対応が異なる場合がありますので、診療録の管理方法や利用方法、引継ぎ方法については、関係法令や契約内容を確認しながら進めることをおすすめします。また、承継スキームによって必要な対応が異なる場合がありますので、事前に専門家へ相談しながら準備を進めるようにしましょう。
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