医院開業コラム
FP佐久間のみらいマネー研究所 第1回
2017.05.09
初めまして、リスクマネジメント・ラボラトリーの佐久間と申します。この度コラム「みらいマネー研究所」を連載させていただくことになりました。ドクターのライフプランに応じた金融商品選びや、その活用方法などをコラムの中でご紹介していきますが、全編を通じて「人生全体で資金効率を改善する」という視点が根底に流れています。
現在、当社では全国の多くの医師会や医師協同組合と提携させていただき、ドクターの金融商品に関わるお悩みの解決に携わっています。私は仕事柄、日々多くのドクターとお会いしますが、住宅ローン、生命保険、投資信託などの金融商品について説明をすると「もっと前に知っておけばよかった」「人任せにしていたら、状況がわからなくなってしまった」「こんなはずではなかった」などとお話しされる方がたくさんいらっしゃることに驚きます。
ドクターは業務上、さまざまな情報を整理し、意思決定をすることには慣れているはずです。しかし、金融商品については「整理すべき情報を持たない」または「情報の精度が低い」という状況下にいらっしゃるためか、意思決定や判断を間違えてしまうことが多いのかもしれません。
本コラムでは、ドクターのみなさんにご自身のライフプランをはじめ、計画に沿った意思決定や判断をしていただくための情報提供ができればと考えています。今回は概論となりますが、次回以降、さまざまな金融商品の選び方をお伝えしていきます。お読みいただいたみなさまの「人生全体での資金効率改善」のお役に立つことができれば幸いです。
人生全体での資金効率改善を考える上で、ライフプランを無視することはできません。一般的にライフプランとは生活や子育て、老後などの計画のことをいいますが、ドクターの場合は同じような考え方で捉えると、大きく読み違えてしまうことがあります。
厚生労働省の統計によると、医師資格を持つ方は平成26年末までで311,205人。そのうち病院、または診療所の開設者・法人の代表者は77,408人です。つまり、医師資格を持っている方のうち約25%は「経営者」ということになります。
【平成26年(2014年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況】
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/14/index.html
しかし経営者であるドクターのみなさんも、全員が最初から経営者というわけではありません。ご自身の予想に反して勤務医から経営者に代わる方も多く、特殊な職業でもあります。
一般的にライフプランから収支のシミュレーションを行う際には、その方の職業に応じて収入などを予測します。しかしドクターの場合はどこでその状況が変化するかを予測するのはとても難しく、ほかの職業の方々に比べると、収支などの計画を立てる際にはその計画がライフプランの変化に対応できるのかどうかという点が、とても重視されることになります。
たとえば、開業して多額の返済をされているドクターから「お金が足りない」という相談を受けることがあります。そのドクターの収支を見てみると、勤務医時代に老後生活のために加入した生命保険が足かせになっているというケースをよく拝見します。
多額の借入の返済と保険料の負担のどちらを優先するか、借入の金利と生命保険の貯蓄性とを比較して、泣く泣く生命保険を解約される方もいらっしゃいます。もちろん、生命保険の解約金は繰り上げ返済の原資などになりますので、効果がないということではありませんが、当初に想定していた結果とはだいぶ異なる結果になってしまいます。
では、どのように収支計画を考えていけばよいのでしょうか。目標は、”老後も現役時代も資金破綻しない”ことだと思います。ドクターの収支計画を立てる場合には、一般の職種とは異なるドクター独自のポイントを視野に入れる必要があります。
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