医院開業コラム
開業風林火山 開業サポート衆が語る12の鉄則 第9回
2023.05.15
アイセイ薬局の開業コンサルタントに、クリニック開業までの道のりと各過程のポイントを聞くシリーズ『開業風林火山』。第9回のテーマは、集患のための「宣伝広告」です。
いくら知識や技術、熱い想いを持った素晴らしいドクターでも、宣伝広告でそれらをきちんと伝えられなければ、いいスタートダッシュを切ることは難しいもの。そこで今回は、マーケティング経験の長いコンサルタントの鈴木が、現代のクリニック開業に求められる情報発信について、お伝えします。
【プロフィール】鈴木 直哉(すずき なおや)
前職は化粧品会社でマーケティング、特にプロモーションに深く携わる。アイセイ薬局への転職後は、その経験を活かし、クリニックの内覧会の企画・支援に従事し、チームリーダーも任される。アイセイ薬局オリジナルのヘルスデザインブランド『kusu(クス)』の立ち上げ、商品プロデュースを経て、現在はコンサルタントとして開業支援や物件開発を担当。
――クリニックの宣伝広告の手法にはどのようなものがありますか?
宣伝広告の方法はいくつかありますが、主体となるのは「ホームページ」、続いて「内覧会」です。さらに、内覧会とも関連する「チラシ」や、地域の特性によっては検討すべき「看板」もあります。それから、私どものような「薬局と連携したイベント」を行うことも、ひとつのやり方ですね。それぞれの手法の内容や特徴などを、順に解説していきましょう。
・ホームページ
クリニックのサービスやコンセプトを細かに、そして広く発信できる唯一の手段で、宣伝広告で最も重視すべき手法といえるでしょう。しかし、今の時代の開業において、ホームページは制作するだけでは不十分です。内容を充実させて検索順位を上げ、多くの方の目に触れるようにする、いわゆるSEO対策が必要になります。難しいと思われるかもしれませんが、クリニックにおいては、きちんとテクニックを駆使して対策すれば結果は出やすいです。
具体例としては、サイト説明文(検索結果画面で、ホームページのタイトルに続く形で表示される短い文章)のクオリティにこだわること、ホームページのページ数の合計が30を超えるようにすること、あとは院名に地名を入れることも効果的ですね。競合のホームページをきちんと分析し、それに勝てる内容にすることも重要です。また、近年はスマホでホームページを閲覧する方が多いので、その点も意識して作る必要があります。
それから、予算に余裕があればリスティング広告(検索ワードに関連した広告で、画面上部に表示される)を出すことも有効な手段です。特に競合数が多い首都圏に開業する場合は、検討してみることをおすすめします。ただし、優先順位はあくまでもホームページの中身を充実させることが第一です。ホームページについては、後ほどもう少し詳しくご紹介します。
・内覧会
内覧会は、ホームページと同じくらい重要な宣伝広告の手段です。ドクターやスタッフの人柄、院内の雰囲気、設備……そうした“受診にあたって気になること”を、患者さんに気軽に確認してもらえます。健康相談会などのイベントを行うと、より来院を促しやすくなりますよ。
なお、内覧会は開業日の直前の土日に行うのが一般的です。患者さんの記憶に残るようにするには、そこがベストなタイミングと考えられています。もちろん、エリアや科目によっては平日がいい場合もあるので、“人が集まりやすく、開業日から遠くないタイミング”と考えてください。
・チラシ
クリニックがチラシを開業前に配布できるタイミングは、基本的に2回。1回はスタッフの募集をするとき、もう1回は内覧会の開催を告知するときです。また、開業後にも配布できますが、何回もしすぎてしまい、かえって「このクリニックは流行っていないのでは」というネガティブなイメージを与えかねません。さらに広告規制(医療法)もありますので、実施する際は、内容をかなり考慮した上で実施してください。
なお、チラシは新聞の折り込み広告と、ポスティングの2種類に分けられます。広範囲へのアプローチには比較的費用が安い折り込み広告を、“足元人口層”には費用はかかりますが密度高く届けられるポスティングを選ぶといいでしょう。
人口密度や河川・道路の状況など環境の違いにもよりますが、チラシの配布を検討する範囲の目安は、都心なら半径1km、それ以外では半径1.5km程度と考えておくといいと思います。
・看板、電柱広告
(さらに…)
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