医院開業コラム
熱血!医院集患塾 第5回
2016.01.18
こんにちは。集患マーケターの永井です。
前回のコラムで、患者を集める仕組みづくりの第一歩は「認知」から始まるとお伝えしました。クリニックの存在を100人より1,000人、1,000人よりも10,000人に知ってもらう方が、患者として来院する確率が上がるのは明らかです。そのために患者との接点の種類を多く、そしてその接触回数も増やすことが集患増患の成果を残す上で非常に重要となります。
多くの院長先生やコンサルタントも、接触回数を増やすことの重要性は当然のこととして知っています。したがって、多くのコンサルタントは次のような集患増患のアドバイスをしてきます。
「来院患者の住所を地図上にマッピングして来院が少ないエリアを特定し、そのエリアに看板などを設置して、増患対策をしましょう。」
しかし、このコンサルタントのアドバイス通りに実践すると、集患にまったく効果がないばかりか、看板の制作費用やランニングコストがかさみ、逆に経営が厳しくなるリスクも高まってしまいます。事実、私はこういったコンサルタントのアドバイスに従って、増患に失敗しているクリニックを数多く見てきました。
一見、この増患戦略は正しいように感じます。しかし、「このようなアドバイスをするコンサルタントは、集患増患ができないのでは?」と気をつけないといけないのです。
それはなぜでしょうか?
次の図をご覧ください。これは、とあるエリアで開業しているクリニックの診療圏内の住民にヒアリング調査をした結果です。
「あなたは◯◯クリニックを知っていますか?」と質問し、「知っている」と答えた方をプロットしました。
オレンジ色の点が、「知っている」と答えた方の居住地です。
続いて質問を加えてみました。
「あなたはそのクリニックに通院していますか?」
結果は以下の通りです。
通院している人の居住地が赤色、通院していない人の居住地が青色で表示されています。
ここで気をつけないといけないのは、青色でプロットされている方々です。これは、「◯◯クリニックは知っているけれど、通院していない人たち」を示しています。
つまり、すでに認知はしているけれど、通院はしていない人たちが数多く存在するのです。しかし、この事実に気付いている院長やコンサルタントが非常に少ないのが現状です。
たとえ、「認知度を高める」という理由で、赤色が少なく青色が多いエリアに看板を立てたとしても、青色の方々はすでに認知しているので、ほとんど無意味であり、コストだけがかさむという事態に陥ってしまいかねません。
そもそも、クリニックの来院患者データを地図上にプロットしても、赤色のプロットデータしか出てきません。認知だけをしている方々は、来院患者ではないので、当然、住所データは存在せず、青色のプロットデータはまったく出てこないのです。しかし、「来ていない患者は全員、認知していない」と思い込んでしまう。実際には、認知していても、来院しない方がいるということを忘れてはいけません。
ここで大切なのは、「認知数≠来院患者数」であるということ。認知していても来ない患者が存在するという事実を、きちんと把握する必要があります。
では、認知している住民の方々は、なぜ来院しないのでしょうか?その理由はいたってシンプルです。
次の質問を考えてみてください。
「あなたは、ベンツを知っているからといって、必ずベンツを買いますか?」
ベンツを知っているからといって、必ず購入するとは限りませんよね?クリニックでも同じです。クリニックの存在を知ったからといって、必ず来院するとは限りません。その理由はさまざまです。
「知っているけど、そもそも自分には関係ない」(無関心)
「知っているけど、そこまで通院するのは遠すぎて不便だ」(利便性)
「知っているけど、今は別のところに通院している」(競合の存在)
など、多くの理由が考えられます。
この事実を院長にお伝えすると、「すでに認知していて来ないのであれば、もう患者を集める見込みはないので、あきらめるしかないのでしょうか?」という質問を受けることがあります。「しかし、そんなことはありません。」
実は、その方々を来院へと結びつける方法があるのです。
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