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医院開業コラム

開業のタネ

イソノ医院の承継記

イソノ医院の承継記 第8回

ノリスケの野望 ~カツオ、解任へ~

  • 医業承継

2018.11.23

【前回のあらすじ】
マスオが常勤医師となり、新たにノリスケが事務長に就任したイソノ医院。しかし、人件費の増加などで、イソノ医院は経営赤字となってしまった。自分に原因があると感じたマスオは、事態を打開するためノリスケに相談するのだが……。

こうして経営赤字になったイソノ医院は、経費や給与についてのいざこざから、クリニック内に不穏な空気が流れるようになった。ノリスケは、カツオを解任してマスオを理事長にすることを画策。賛同したマスオはサザエを巻き込み、医療法人の社員の過半数票を得たかに思えた。果たして、ノリスケの企みはうまくいくのか。どうなる、イソノ医院?

次回につづく

 

税理士笠浪真のワンポイントアドバイス

医療法人は行政からの認可を受けているため、経営赤字が続くと、行政手続き上、医療法人としての存続が危うくなります。また銀行借入がある医療法人は、経営赤字が続くと銀行からの評価が下がり、追加の借入が難しくなってしまいます。そのため、役員などの給与を下げたり、諸経費を減らしたりすることによって、黒字化を目指すのが一般的です。

しかし、理不尽な給与の減額はモチベーションを下げ、誹謗中傷による職場環境の悪化や、最悪の場合には退職につながってしまいます。そうすると、また採用コストがかかって赤字が大きくなります。さらに退職者の仕事の穴を埋めるために、ほかのスタッフが疲弊して退職してしまうという悪循環に陥ってしまうのです。実際に、スタッフが全員退職したといった事例も少なくありません。

そうならないためにも、税理士が作成する「月次決算報告書」などがとても重要です。クリニックが経営赤字にならないように、毎月の利益をきちんと管理をしておく必要があるでしょう。一度経営赤字のスパイラルに入ってしまうと、なかなか抜け出せなくなってしまいます。給与や諸経費を増やして節税を行うことも大事ですが、過剰な支出で経営赤字になってしまっては本末転倒です。資金繰りも苦しくなってしまいます。弊社では、医療法人のクライアント様に対して、日頃から黒字かつ健全な経営を心掛けていただき、院長先生には余裕を持って診療に集中いただくことをお勧めしております。

※このコラムは、2018年11月現在の情報をもとに執筆しています。

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執筆者紹介

笠浪 真

笠浪 真
(かさなみ まこと)

税理士法人テラス 税理士・MBA

京都府出身。国立滋賀大学経済学部卒業の後、同大学院にてMBA取得。在宅・特別養護老人施設にて、介護士として医療福祉の現場に携わり、会計事務所・法律事務所・コンサルティング会社を経て、税理士事務所を開業。これらの経験を、さらに医療の現場に役立てたいとの思いから、慶應義塾大学大学院医療マネジメント専攻にて、医療経営を学び直す。平成25年「医師からファーストコールされる存在」として、病院・診療所・歯科医院の会計に専門特化した税理士法人テラスを設立。経営理念に共感した医師・歯科医師より、多くの支持を得る。
税理士法人テラスのサイトはこちら

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