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医院開業コラム

開業のタネ

イソノ医院の承継記

イソノ医院の承継記 第3回

フネの決意。医療法人を売ってください。

  • 医業承継

2017.01.26

前回のあらすじ

事業承継対策に医療法人化することを考えたナミヘイとフネ。医療法人セミナーに参加し、改めて医療法人にすべきだと確信する。名称も決まり、理事も決まったところで……

イソノ医院は、次回3月の医療法人申請に向けて、定期的に家族で話し合いを進めてきました。名称は『医療法人ISONO』、理事長にナミヘイ、理事にフネとサザエとカツオとワカメと決まり、後は申請日を待つだけとなりました。

こうして、夏の暑いとき、行政手続きを経て、ウミヘイの医療法人は承継され、ウミヘイクリニックは閉院。医療法人ISONOと名称を変更して、医療法人として改めてイソノ医院が開院されたのでした。ナミヘイは医療法人ISONOの理事長になり、フネ、カツオ、ワカメ、サザエは理事に就任。医療法人手続きをきっかけに、カツオは後継者としてイソノ医院を承継することを腹に決めました。しかし、ナミヘイの体調は日に日に悪くなっていく一方でなのでした。

次回につづく

 

税理士笠浪真のワンポイントアドバイス

医療法人のM&Aはクリニックの事業承継にとって有効な手段となり得ます。しかし、M&Aの成功報酬は数百万円~数千万円と多額になることもあり、医療コンサルタントを名乗るブローカー等が暗躍しているため、注意が必要です。まずは、国家資格を持った税理士や公認会計士にご相談を。なかでも多くの医療機関をクライアントに持つ会計事務所に相談することをおすすめします。事業承継にあたっては、資産や負債を引き継ぐことがあります。そのため、決算書における資産はそれぞれいくらの価値があるのか、また負債は簿外負債があるのかないのかも確認しておく必要があります。例えば、就業規則等で役員・職員の退職金支給額が決まっているのであれば、負債として認識しておく必要があります。

また、医療法人の事業承継には行政の許認可が深く関わってきます。売主と買主が合意して売買が成立したからといって、買主がすぐに診療をスタートすることはできません。行政手続きを経てからでないと診療は開始できないのです。そのため、売買は成立したけれど、行政で認可が出なかったというトラブルを何度も聞いたことがあります。

弊社でも、医療法人の事業承継に多くの実績があります。医療法人設立・医療法人M&Aの詳細については、私が運営している「東京医療法人手続センター」のサイトをご覧ください。

※このコラムは、2017年1月現在の情報をもとに執筆しています。

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執筆者紹介

笠浪 真

笠浪 真
(かさなみ まこと)

税理士法人テラス 税理士・MBA

京都府出身。国立滋賀大学経済学部卒業の後、同大学院にてMBA取得。在宅・特別養護老人施設にて、介護士として医療福祉の現場に携わり、会計事務所・法律事務所・コンサルティング会社を経て、税理士事務所を開業。これらの経験を、さらに医療の現場に役立てたいとの思いから、慶應義塾大学大学院医療マネジメント専攻にて、医療経営を学び直す。平成25年「医師からファーストコールされる存在」として、病院・診療所・歯科医院の会計に専門特化した税理士法人テラスを設立。経営理念に共感した医師・歯科医師より、多くの支持を得る。
税理士法人テラスのサイトはこちら

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