医院開業コラム
クリニック経営者のための医療ICT活用メソッド 第30回
2020.11.17
2021年3月から「オンライン資格確認」が始まります。オンライン資格確認は政府が現在進めているIT化推進計画のひとつで、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号を用いて、オンラインで資格情報の確認ができる仕組みです。
この仕組みに参加することで、医療機関にとっては大きな業務効率化を実現できることでしょう。今回はその仕組みや、医療機関にとってのメリット、今後のスケジュールなどについて解説します。
政府が進めている「オンライン資格確認」とは、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号を用いて、オンラインで資格情報(保険の有効期限など)の確認ができる仕組みです。
2019年5月22日に公布された「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」において、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになりました。その流れで、2021年3月からはオンライン資格確認が開始されることとなります。
なお、資格確認にはマイナンバーカード内のICチップの暗号キーを活用するため、 医療機関が患者さんのマイナンバー(12桁の番号)を扱うことはありません。
【図:オンライン資格確認の流れ】
「オンライン資格確認」の開始は大きなメリット
オンライン資格確認は、ミスの削減や業務の軽減など、医療機関によい影響をもたらすものです。具体的には以下のようなメリットが考えられます。
1. 保険証の情報をリアルタイムに確認できる
オンラインで健康保険証の資格を確認することにより、医療機関の窓口でもすぐに情報を確認できるようになります。これは保険証の登録間違いや確認間違い、失効した保険証による「過誤請求」などがなくなるという、医療機関にとっては夢のような話です。
また、保険証には顔写真がありませんが、マイナンバーカードには顔写真があります。それを活用することで、医療機関の診療時において被保険者の確実な本人確認が可能になるのです。これで「なりすまし」や「保険証の友人間の譲渡」といった問題も解決します。
さらに、転職などで保険者が変わっても、新しい保険者が資格情報を登録することで、新たな健康保険証の発行を待たずに保険医療機関等で受診できるようになります。保険証の切り替わりによる確認ミスや、登録ミスも防ぐことが可能です。
2. 保険証の情報は自動的に電子カルテに登録される
従来、医療機関の受付では保険証を患者さんからお預かりし、①保険証記号番号➁氏名③生年月日④住所などを、レセコンや電子カルテに入力する必要がありました。しかし、オンライン資格確認を導入すれば、マイナンバーカードのICチップを読み取ることで、最新の保険資格を自動的に電子カルテ等に自動で取り込むことが可能になるのです。
もしマイナンバーカードをお持ちでない患者さんでも、保険証があれば、最小限の入力で資格情報を取り込むことができます。これで医療機関での保険証情報の入力間違いが、ほぼなくなるのです。 (さらに…)
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