医院開業コラム
FP佐久間のみらいマネー研究所 第4回
2017.09.01
前回まで、個人で加入すべき死亡保障の考え方や、加入後のメンテナンスについてお伝えしてきました。今回は加入されている方の多い「医療保険」について考えてみます。
医療保険は、テレビやラジオCMでも多くの保険会社からいろいろな商品がPR されており、ご興味をお持ちの方も多い商品ですが、種類が多く特徴もさまざまで、どのような商品がよいのか迷われる方も少なくありません。
今回、医療保険について考えるにあたり、改めて”保険”そのものについて少しお話していきましょう。
保険とは、そもそも相互扶助=「みんなでお金を出し合って助け合う」という概念から生まれた仕組みです。「確率は低いけれども経済的に破綻してしまうような(貯蓄では補いきれない)収支バランスの乱れ」に対して、多くの人たちが小額のお金を出し合うことで備えておく、というものです。つまり「ひとりの力では難しいのでみんなで助け合っていきましょう」ということです。
以前お伝えした死亡保障に加入する目的も、ご自身に万一があった際に「残された遺族に降りかかる経済的なリスクを回避する」ことでした。だからといって、多額の保険料を払ってすべてのリスクを保険でヘッジするのは現実的ではありません。時間的に余裕がある場合など、現金を貯蓄しておくことができるのであれば、必ずしも保険である必要はありません。すなわち、貯蓄でカバーできないリスクは保険で、貯蓄でカバーできる程度のリスクは貯蓄で備えるというのが、合理的な考え方ともいえるのではないでしょうか。
ところで、今回のテーマである医療保険とはどのような保険なのでしょうか。医療保険は、基本的に「入院給付金+手術給付金」という構造です。入院を例にすると、1日10,000 円といった入院時の給付や手術時の給付、退院時の給付金などが受け取れる仕組みを「医療保険」と呼んでいます。
病気やけがで入院すると「入院日数×給付金額」が支払われる保険で、昨今は一泊の入院でも支払われるタイプが主流です(以前は「入院5日目から支払われる」といったタイプが主流でした)。
また、1回の入院での支払日数限度が60日、または40日(以前は120日のタイプが主流)、手術の場合は入院日額の10倍から40倍の給付が受けられるといったものが多いようです。
【例】1日目から給付可能な日額10,000 円の医療保険(一入院限度60日、手術10・20・40倍タイプ)に加入していた方が、がんの根治手術で20日間入院された場合
上記の合計600,000 円を給付金として受け取れます。
もちろん入院が長引いた場合は、限度日数の60日分の保障が受けられることになります。
先生方のほうがご存知かもしれませんが、昨今はがんの治療など初期には入院のない治療方法なども見られます。急性期疾病の治療では、一体何日間入院するのでしょうか?反対に入院が長期化する疾病の場合、60日の入院限度日数で足りるのでしょうか?
入院はお金がかかるといわれますが、保険診療分に関しては高額療養費制度も適用されますので、自己負担額は一定の範囲に収まります。では、どのような対策がよいのか見ていきましょう。
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