医院開業コラム
現場発!クリニックの人材マネジメント 第3回
2017.03.10
前回は、スタッフ採用の着眼点についてお知らせしました。
スタッフの採用が決まると、採用者に「組織としての決めごと」や「業務内容」などを知ってもらう時期に入っていきます。その中で、新規採用者はもちろん、現職スタッフにも必ず毎年行っていただきたいことが「目標設定」です。
第1回目で理念の重要性をお伝えしましたが、「目標設定」では、スタッフたちに「理念に向けてどのように進んでいくか」を考えさせることが必要です。その際、初めから背伸びしすぎて達成できない目標を掲げていても意味がありません。できることに少しだけプラスして達成感を味わい、「自分にもできる」という自信を育てていくことが重要です。
最初は“少し背伸び”から始まっていても、慣れてくるとおのずと次回の設定目標が高くなっていきます。ですから、達成の意味を教えることが重要なのです。
「目標設定」の手順は以下の通りです。
1.組織の理念を理解する
2.その理念に向けて、組織として今年度の目標を立てる
3.2の目標に向けて、スタッフ個人が目標を立てる
※「行動目標」(自分の目標を達成するための動き方)と「期間目標」(例:3ヶ月後に2割は達成したい、半年後に6割は達成したい、など)の両方を設定する
4.設定した期間ごとに「期間目標を達成できているか」を振り返り、「行動目標」を随時変更する
※早めに達成できた内容に関しては、来年の新たな目標に向けた自分貯金とする。達成したからといってストップするのではなく、1年間継続する
「目標設定」では、上記を繰り返していきます。
具体的に説明しましょう。例えば、「1年間で10kg痩せたい」という目標を立てたとします。この場合、「毎日間食しない」という目標ではなく、「期間目標」を立てることが重要です。
3ヶ月でまずは2kg減量という「期間目標」を設定し、「行動目標」を立てます。例えば、「毎日間食していたものを1週間で3回にする」といった具合です。そして、3ヶ月後に達成度を確認し、少しずつできる範囲を広げていきます。
ここで重要なことは、「期間目標」の数字だけを見るのではなく、「行動目標」をしっかりクリアできているかに着目することです。
「行動目標」を達成して数字の2kgも達成できていれば、今度は、半年後に6kgを目指します。前回の2kgに加えて間食をもう1回減らすなど、「行動目標」をアップデートしながら達成へとつなげます。
もし達成できていなければ、達成できなかった分を目標に必ずプラスして、できていない部分を振り返ります。反対に、途中で「年間目標」を達成できたら、新たな目標に向けて自分貯金をしていくのです。
少しずつ達成を目指すことにより、モチベーションをキープしていくことができます。できない目標設定ではなく、できることにちょっとプラスして、できる自信をつけていく。その積み重ねが、スタッフ個人の成長につながっていくのです。
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