医院開業コラム
シリーズ「開業医の妻たち」 Vol.1(後編)
2017.06.20
整形外科クリニックの院長夫人としての経験から、全国のクリニック院長夫人へのサポートに奮闘していらっしゃる永野 光さん。多岐にわたる業務やスタッフの育成、人間関係など悩みは尽きません。その中で、どのようなマネジメントをしたらいいのか、院長とどう関わっていくべきなのか、永野さんのご経験から生まれたお考えを伺いました。
それは夫である院長次第ですね。夫に10代から60代までの女性集団をマネジメントする能力と、事務管理能力があるかどうかを、妻が正しく見極める必要があると思います。
ホームページの更新、認定医や麻薬取扱者免許の継続申請、マイナンバーの管理、年末調整の書類の配布・回収など、診療以外に一年を通してやるべきことがたくさんあります。それらをすべて夫ができるかどうかですね。夫がやるのが難しいようなら、お金を出して院外事務長を雇ったり、お給料の計算だけ社労士さんにしてもらったりするケースもあります。
あとは、妻自身の能力ですね。自分が女性スタッフの中に積極的に入ってやっていけるのか、スタッフに受け入れられるのかが問われるのではないでしょうか。そこは開業してしばらくたって落ち着いてから、妻が今後、医院運営にどの程度関わっていくかを院長や税理士さんとも相談して決めたらいいのではと思います。
自分自身の経験から思うのですが、病院に勤めたことがあったり、自ら積極的に受付に出て行って患者さんの対応をしたりといった現場感覚を養わないと、スタッフに受け入れられるのは難しいと思います。
院長とスタッフが一緒にいる時間が長い分、どうしても結束が強くなるので、私だけが現場の話についていけずに孤独を感じることは開業当初はよくありました。診療中の話題などをされると、私は知らないので自分だけ蚊帳の外にいるような気分になることもあります。
私は病院に勤めていた経験があるので、看護師や受付がどういう役割をしているかはわかりますし、現場感覚を持ちやすいのですが、全然違う仕事をされていた方だと、その感覚を持つことは難しいかもしれません。でも、うまくスタッフの中に入っていかれる院長夫人もいらっしゃいます。現場感覚が逆に邪魔をすることもありますので、そこはその人の性格によるところも大きいのかもしれませんね。
「組織感情のマネジメント」を意識するといいのではないでしょうか?現場にいると、個々のスタッフ感情にフォーカスしがちなんです。J.Feelという会社が作っている「組織感情の4分布」というのがあります。
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