医院開業コラム
クリニックのWEBサイト‐得する12の新常識 第4回
2017.02.06
ホームページ制作会社は、クリニックとともにホームページを作っていくパートナーです。クリニックと制作会社が協力し合うことで、効果の出るホームページが生まれます。しかし、ホームページ制作を生業としている会社は星の数ほどあり、どんな会社に相談するのがよいのか分かりづらいものです。
今回は、ホームページ制作会社の見極め方をご説明します。
制作会社を選ぶ際には、これまでの実績を見ることが多いと思います。実績を見る際、「数」や「見た目」に目が行きがちですが、ぜひ以下の視点も取り入れてほしいと思います。
開院時のホームページ制作は、スケジューリングが重要。制作会社が率先して進行管理ができるかどうかを見極める上で「開院時に携わっているか否か」は重要です。また、クリニックの実績がある制作会社は、クリニックならではのポイントや注意点をよく知っていると考えられます。何科の実績が多いのか、自費診療への対応を行なっているか、なども注意して見てみましょう。
クリニック以外の実績を見ることで、デザインの幅や制作技術の質、会社の信頼性を確認することができます。一般に、大手企業のホームページはガイドラインに沿って制作している場合が多く、その制作実績がある場合、一定水準以上の制作技術や知識があると推測できます。また、WEB業界の変化は非常に早いため、企業のホームページを制作する際に最新の技術を取り入れているかどうかも、判断ポイントのひとつとなるでしょう。
ホームページは制作期間よりも、運用期間の方が長いものです。ですから、運用・管理しているクリニック数を確認しましょう。サポート体制(電話対応・メール・FAX対応の有無など)や、更新作業代行の有無など、公開後の運用をイメージして質問してみましょう。多数のクリニックを継続して運用している会社であれば、SEO対策の実績もあるはずです。
ホームページの見た目(デザイン)だけではホームページの価値を図ることはできません。実績を確認する際に、そのWEBサイトを訪問し、利用者目線で実際にPCやスマートフォンで操作してみましょう。操作性などの工夫・こだわりを担当者に聞いてみることも大切です。
コンテンツ(掲載内容)をどのように準備していくのかを確認しましょう。先生が準備する場合と制作会社が準備する場合に分かれますが、一概にどちらが良いとは言えません。先生が準備をする場合は、先生の想いをより強く出すことができますが、開業準備でお忙しい中でコンテンツを作成するのは、かなり大変な作業となることが多いのです。一方、制作会社が準備する場合は、SEO対策やホームページを制作するポイントを考量して原稿を作成することができますが、先生の想いの部分は薄まります。
今までの経験上、「会社側が準備して、先生が修正を入れていく」といった形がスムーズに制作できる方法かと感じています。原稿をどちらが作るにしても、ユーザー(患者さんや地域住民)が求めるコンテンツを過去の実績や客観的な視点でアドバイスしてくれる会社を選ぶのが良い、という点は変わりありません。
CMS(コンテンツマネージメントシステム:クリニック側で更新できるシステム)の導入には専門の知識が必要です。また、CMSの導入については制作会社によって考え方が分かれる部分でもあります。どんなCMSを導入することがおすすめなのか、運用方法など、その会社のCMSに対する方針を確認しましょう。
最新のSEOの考え方はGoogleの方針に基づいています。そのため、Googleの考え方をきちんと理解しているかどうかがSEO対策やホームページの質にも影響します。最新の実績のどんな点がGoogleの考えに沿っているのか、直球で質問してみてください。
個人的な知り合いや友人のホームページ会社等に頼むのは要注意です。クリニックのホームページ制作の経験があればよいのですが、経験がないと、開業に間に合わなかったり、思った通りのホームページができなかったりすることもあります。その場合、強くモノを言えなかったり、会社を変えようにも変えられなかったりと、結果的に失敗する可能性が高まってしまうのです。ホームページはクリニックの重要な広告媒体ですので、広告費を準備してきちんと制作会社を選びましょう。
「一般的にホームページはいくら位ですか?」と聞かれることがありますが、「10~100万まで幅があります。」と回答することがほとんどです。こんなに価格に幅がある理由は以下の通りです。
レスポンシブウェブ(PC・タブレット・スマートフォン用サイトで同一ソースを活用する開発方法)の推奨や、CMSの普及、コンテンツ重視のSEO対策など、ホームページ制作が複雑化し、質の高いホームページ制作には幅広いスキルが求められるようになりました。以前はページ数による算出が行われていましたが、今では導入する技術力によって価格の差が出てきます。
もちろん「値段が高い=質が高い」とは限りませんが、WEB業界に精通した人でないとその妥当性を判断するのは難しいでしょう。
ホームページには多くの場合、ランニングコスト(運用費用)が発生します。制作費用が安くても運用費用が高い場合があるので、総合的な費用を考慮する必要があります。1年間でどのくらいの費用が掛かるか比べてみましょう。また、契約期間に縛りがある場合は注意しましょう。中途解約についてもチェックが必要です。
ホームページ制作の技術は“見えない”部分に反映されていることも多くあり、その差がSEOにも関わってきます。一見「見た目」は十分なクオリティであっても、“見えない”部分への投資はなかなかできないかもしれません。見えない部分へのこだわりを確かめるために、「内部構造はどのような基準でつくっていますか?」と聞いてみてください。
WEBの技術は日進月歩です。ホームページの契約期間が長期に及ぶ場合、その進歩についていけるかがポイントになります。また、ホームページは制作に加え、運用が重要になってきます。制作会社と運用の方針が合わなくなった場合、他の会社に移行(移管)ができないと、今まで作ってきたホームページの資産が無駄になってしまいます。契約期間に縛りがなく、自由に移管できるのが理想的です。
効果的なホームページは「なんとなく」できるものではなく、クリニックの運営と直結する場合が多いのです。先生のお考えや地域特性と、制作会社の経験・知識と合わせることで初めて価値あるホームページが生まれます。ホームページ制作会社は開院後、長年にわたってクリニックを陰から支える存在になりますので、ぜひとも先生の考えと合った制作会社を見つけていただければと思います。
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