初めての開業時には苦労がつきものかと思います。
MedPeer登録医師に対して、開業の際の職員採用においてヒアリングを実施しました。
まずは、「知り合いをスカウトしたか?」という回答結果をご紹介します。
質問:開業の際、知り合いをスカウトしたことはありましたか?
実際、2割以上の医師が開業の際に知り合いをスカウトしたと回答しています。
意外と多いといった印象を受けておりますが、皆さんはいかがでしょうか?
また今回は、開業時の採用において、「募集時」と「面接時」、そして「採用後」のエピソードをご紹介します。
募集時のエピソード
皆さん、職員募集の際には「知人に頼る医師」、「求人広告を活用する医師」、「コンサルタントに相談する医師」など様々です。
- 求人広告を出せば、そこそこヒトは集まるものだろうと甘く考えていたが、ちっとも集まらずに苦労した。いざ雇ってみても外れが多く、メンバーが安定するまでに数年もかかった。
(50代:眼科)
- 応募がなかなか無く、面接の仕方も分からなかった。人材派遣会社の人に面接方法を伝授してもらった。
(50代:麻酔科)
- 募集する前に、知人と知人からの紹介で決まった。あまり大変ではなかった。
(50代:アレルギー科,小児科)
- 職員採用は、近所の知人の紹介と、求人誌(京都リビング)で募集しました。
知人の紹介は、切りにくく面倒でした。求人誌の方がドライで良かったです。
看護師や事務員は大切で、人事管理がいかに大変かを思い知らされました。
(60代:アレルギー科,一般内科,家庭医療,代謝・内分泌科,リウマチ科)
- 土壇場になって看護師の採用予定者がキャンセルした。
(60代:家庭医療,消化器内科)
- 看護師さんの採用に、自分が勤務していた病院の看護師(姉)の妹さんを紹介されて、開院時に採用した。その後30年間勤務して頂いた。
(70代:整形外科・スポーツ医学)
- 看護師の採用に非常に苦労した。選択するという手間がなかったともいえるが、良い人材を得ることは、その後のスムーズな開業に最も重要な事項と思う。
(60代:眼科)
- 以前いっしょに勤務した人を中心に採用し開業医したので立ち上げが楽であった。
(50代:皮膚科)
- 分からない事だらけで、コンサルトさんがとにかく頼みの綱でした。
(40代:心療内科,精神科)
- コンサルタントを通して 募集をかけて面接を行った。
募集後は開業までの研修を複数回組み、その手配をコンサルタントに任せたので楽であった。面接の経験が少なかったので 質問内容に最初は窮してしまった。
採用時は みな前向きに良いことを言うが、就職後はいうこととやることが違う者も結構いるので 初心を忘れないよう 書面で確認し、時折確認することが必要。
(50代:在宅医療,一般外科,消化器外科,乳腺・内分泌外科,緩和医療)
- 開業目の勤務先の事務職の方からの紹介で、16年目ですが今も続けてくれてます。
(50代:一般内科,消化器内科,小児科)
- 開業コンサルタント(医療機器、レセコンなどの購入をお願いした人)が面接をしてくれて私はその横で座ってみているだけでした。勤務医だったので採用面接など未経験でしたので。
(60代:小児科)
- 開業コンサルタントに任せてスクリーニングしてもらったので、良い人を採用できた。
(50代:一般内科,消化器内科)
- 年収を決める際に基準がなくてこまった。
(50代:リウマチ科,整形外科・スポーツ医学,リハビリテーション科)
面接時のエピソード
「面接だけの時間で判断ができない、難しい」という意見が大半でした。
また、看護師の採用の際は、女性に任せるという工夫をされている医師もいらっしゃいました。
面接を経験されたことは、同じ印象を持つ方々が多いのではないでしょうか?
- 採用時の面談の時と、実際に採用しての差(実力、人間性、まじめさ等)があって困った。
(60代:アレルギー科,一般内科,小児科)
- 面接に慣れていなかったので、疲れました。
(50代:一般内科,循環器内科)
- 外見と経歴で選んだが結局大切なのは性格。
(50代:アレルギー科,小児科)
- 核となる婦長をスカウトし、女性職員を決めさせた。女性は女性に選んでもらうに限る。
(50代:一般内科,循環器内科)
- 業者任せにせず、自分で先行しました。納得がいった。
(50代:眼科)
- あまり高望みしないこと、割り切りが大事。
(50代:アレルギー科,消化器内科,循環器内科,総合診療,精神科)
- やはり面接と実際に仕事が始まってからの態度、スキルには隔たりがあると思います。
(40代:皮膚科)
- 面接をして採用の可否を決めた。経験者もおり比較的スムーズに決定したと思う。
(50代:眼科)
- 面接ではなかなかその後の働きぶりがわからなかった。
(50代:一般内科)
- とにかく面接に時間がかかって大変だった。
(50代:一般内科,循環器内科,循環器外科,小児科)
- 信頼できる知人(コンタクトレンズ等の卸業者の専務)に頼んで職員採用面接に同席してもらいました。
おかげで良い人を採用でき、職員同士の仲も良く数年は平和でした。
(50代:眼科)
- 開業コンサルタントに職員面接もしてもらい、良い職員を確保できた。
(60代:アレルギー科,耳鼻咽喉科)
- 職員採用と管理こそ、開業医のストレスの80%を占めます。大変だったことばかり……患者さんの診療している時が最も楽。
(60代:耳鼻咽喉科)
- どの程度実務ができるのかがわからないので、人柄で選ぶしかなかったです。(40代:心療内科,精神科)
- たくさん面接しました。でも働いてもらうまで、どんな人か結局わかりませんでした。
(50代:整形外科・スポーツ医学,リハビリテーション科)
- 縁故で雇ってしまって 交代させることができなくなった。
(50代:一般内科,消化器内科,小児科)
- やはり人事は色々と大変でした。今でもすごく大変です。一度の面接ではなかなか能力や、合う合わないを見極めるのは難しく、ですが一度雇ってしまうとそう簡単にやめさせることは出来ず、大変ストレスですね。
(40代:皮膚科)
- 面接官という立場が初めてだった。何を見たら良いか?質問は何をしたら良いか?短時間で人を見分ける難しさがあった。
(50代:小児科)
- 人を雇うという事が初めてだったので、面接自体や、短時間の面接で得られた情報からどうやって人選すればよいのかに困った。
(50代:産婦人科)
採用後のエピソード
採用後の離職や、人数の調整が上手くいかないこと、リーダーシップを取って組織を動かしていくことなど、採用してからも大変な様子がコメントから見受けられます。
- 医院の継承ですので、従業員は当面は足りました。ただし、新規採用では、以前から勤務されている年配の人との兼ね合いもあり、色々と気を使うことがありました。
(50代:一般内科,老年内科,小児科)
- 職員が定着しないことが大変だった。
(50代:整形外科・スポーツ医学)
- 自分の在職していた病院出身者が複数人、看護・事務にいたので気分的に楽だった。
(50代:一般内科,泌尿器科)
- 勤めていた病院の看護婦がついてきた。その看護婦がリーダーシップがあり、よくまとめてくれた。
(60代:一般内科,消化器内科,小児科)
- ナースは開業前に勤務していた病院から連れてきたので、苦労しなかった。
(50代:耳鼻咽喉科)
- 本人のスキルより、人間関係でのトラブルが圧倒的に多いので、採用時にどれだけ厳選したとしても、あまり意味はない、と感じている。
(50代:皮膚科)
- 開院時のスタッフは、ほぼ全員が1年以内に退職し入れ替わりました。今にして思えば自分自身の未熟が招いたことでしたが、当時はそれがわかりませんでした。医師としてはベテランでも、院長職、管理者は初心者という自覚を持ち、あくまでも開業医はチームプレイということを意識して仕事に望むことです。
(50代:眼科)
- 人を評価することは、今に至っても難しい。難しいことは言わず、第一印象で決めています、失敗も成功もすべて自分の責任。院長であることは数少ない自由裁量ができること。社会保険労務士などの専門家のバックアップは極めて有効、信じられないようなはずれた人は必ずいますので。
(60代:一般内科,循環器内科,一般外科,整形外科・スポーツ医学)
質問:知り合いをスカウトして、その開業は成功しましたか?失敗しましたか?
「開業の際、知り合いをスカウトしたことはありましたか?」という冒頭の質問について、「はい」と回答した開業医が全体の23%の144名とご紹介しました。
さて、その開業自体は、どうだったのか追加質問した結果をご紹介します。
- 「はい(成功した)」 :109名
- 「いいえ(失敗した)」:19名
- 「何とも言えない」 :16名
8割近い医師が「知り合いをスカウトして成功した」と回答しています。