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翔和仁誠会流の分院展開戦略 ~勝利のための10ラウンド~

翔和仁誠会流の分院展開戦略 ~勝利のための10ラウンド~ Round 8

分院展開初期で大切な「4つの『同』」とは

  • 医業承継

2020.09.16

前回までは、分院展開を成功させるための当法人の戦略をいくつか紹介してきました。これらの戦略は、私が16年間にわたり分院展開を行ってきた数々の失敗・成功体験を経て体得したエッセンスです。

一方で、読者の先生方の中には、すでに本院の経営に成功され、これから分院展開を行うことを検討されていらっしゃる方も多いと思いますが、分院展開の初期では当然に理事長としての経験値が少ないため、私も数多くの苦労や失敗を重ねてきました。

そこで今回は、これから分院展開を行おうとお考えの先生方に向けて、私の経験をもとに分院展開の初期に重要だと考えている要素をご紹介したいと思います。

分院展開初期に重要な成功のポイント

本コラムの1で紹介したように、本院が軌道に乗った後に新たな挑戦として分院展開に乗り出した私ですが、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。大学時代の同級生2人に院長に就任してもらった最初の分院2院が成功した後に、他沿線に出店した分院の運営が「距離の壁」もあってうまく行かず、後輩に譲渡する形でロスカットしました。

また、その後本院と同沿線の多摩センター・府中での分院成功を経て調布に出店したクリニックモールでは、「他科の壁」が大きく立ちはだかり小児科・整形外科の2医院を閉鎖しました。このように、私も分院展開を行ってきた16年間で3医院を閉院するという、大きなしくじりを経験しています。

このようなしくじり経験を振り返ると、最初の分院展開を成功させるためには、「リスクを最小限に抑え、成功の可能性を最大化させる」ことがポイントだと考えています。そしてそのためには、以下のような「4つの『同』」をそろえることが重要だと痛感しています。

 

分院展開初期の成功可能性を最大化させる「4つの『同』」とは

最初の分院展開において、その成功可能性を最大化させるためには、「同科目」「同沿線」「同級生・同期」「同性」の「4つの『同』」をそろえることがポイントです。それぞれについて見ていきましょう。

①「同科目」
最初の分院を「同科目」にするのは、分院長と医療に対するフィロソフィーを共有しやすいためです。そして、同科目であれば、分院開業前に本院で自分のサブとしてトレーニングをすることも可能なため、診療レベルを標準化することもできます。

また、分院開業後も、同科目であれば管理がしやすいというメリットもあります。なぜなら、理事長である自分も診療について十分に理解しているため、分院長と診療内容の細かなすり合わせを行いやすいからです。さらに、分院長が休暇を取らなければならないときにもネットワークを活かして外勤医師の手配が比較的容易であり、クリニックを休診にすることもありません。

なお、分院展開を検討し始めたばかりの先生方には、分院展開を実行に移す前に、まずは自分の向き、不向きを検証することをお勧めしています。そして、その検証の際も「同科目」であることが有利に働きます。すなわち、分院展開の前にまずは本院で「2診体制」を導入し、自分以外の医師と一緒に仕事をしてみるのです。分院展開では、理事長である自分はあくまで経営者という立場であり、実際の診療や分院運営は他人である分院長に任せなければなりません。ご自身がそのような経営者になれるのか。分院展開の向き、不向きを試すのは、本院での「2診体制」が最適の場なのです。

②「同沿線」
鉄道の沿線が同じであれば、マーケットの理解が容易です。また、移動に時間がかからないため分院開業後の管理やサポートも容易になります。しかも、同沿線であれば、分院開業前の診療介助や会計業務等の研修も本院で実施できるため、分院でも開院当初からスムーズな運営を行え、患者さんに対しても最初から安心したクリニックと見せることが可能です。

さらに、分院スタッフの一人が急に休んだとしても、本院から助人をヘルプに行かせるなど、本院と分院でさまざまなリソースを有効活用することもできます。とにかく、同沿線で分院展開をスタートさせることはメリットの塊でしかないのです。

③「同級生・同期」
初めての分院長には、大学の同級生や同窓生、または医局の同期や後輩が理想です。分院展開では、自分が分院にいない状況で分院をコントロールしなければなりません。そして、分院展開初期は自分のマネジメント能力も未熟なことから、自分とすでに信頼関係のある同級生や同期が分院長になってくれるのは安全で、心強い限りです。

また、同級生や同期であれば開業後もコミュニケーションが取りやすく、突然の退職という事態が発生する可能性も低いことから、分院経営の継続性が確保しやすいというのもメリットです。かくいう私も、前述した通り、運よく2人の大学の同級生が最初の分院長になってくれたおかげで分院展開がうまく行き、現在の多店舗展開という状況があるのです。

④「同性」
分院を成功させる上では、分院長と人間関係を構築し、医療のフィロソフィーを一致させることが重要です。そして私の経験では、これは異性に比べて同性のほうがやりやすいと言えます。男女間に大きな違いはないという方もいらっしゃると思いますが、やはり、性差はあると感じています。男性は男性、女性は女性のほうが感じ方や考え方が似通うケースも多く、同性のほうが何かと前に進みやすいのが現実だからです。

当法人には今でこそ5人の女性院長が活躍してくれていますが、分院展開初期に女性の分院長となかなかコミュニケーションが取れず、結果として閉院に至ってしまったという経験があります。もちろん自分の経営者としての未熟さも要因でしたが、これが同性の院長であれば違った結果になっていたかもしれません。そのため、最初の分院長は同性の医師のほうが何かと適していると考えています。

以上が、私のこれまでの経験に基づく、分院展開初期に「リスクを最小限に抑え、成功の可能性を最大化させる」ためのポイントです。これらの「4つの『同』」をできる限りそろえて成功可能性を上げながら、日々の理事長としての業務を通じてトライ&エラーを繰り返し、自分のマネジメント能力を向上させていく。そうすれば、その後のさらなる分院展開の道も開けていくはずです。

さて、本コラムも残すところ2ラウンドとなりました。次回はさらなる分院展開に向けて、当法人が実践している「優秀な分院長を採用するための施策」についてご紹介したいと思います。

※このコラムは、2020年9月現在の情報をもとに執筆しています。

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執筆者紹介

高松 俊輔

高松 俊輔
(たかまつ しゅんすけ)

医療法人社団 翔和仁誠会 理事長

国立山梨医科大学(現山梨大学)卒業後、東京大学耳鼻咽喉科学教室に入局。国立東靜病院、都立府中病院、都立神経病院、社会保険中央総合病院などを経て、文部科学教官助手として東大病院に赴任。同病院では一般外来の他、鼻の専門外来、レーザー治療、顔面神経の専門外来を担当し、診察、手術、研究、後進の指導に従事する。2002年3月に東京都多摩市にて「たかまつ耳鼻咽喉科クリニック」を開院。2004年8月には「医療法人社団 翔和仁誠会」を設立し、理事長に就任。現在、京王線沿線を中心に東京・神奈川において耳鼻咽喉科、小児科、内科、皮膚・泌尿器科クリニックを運営。2019年11月には14院目となる西東京初の民間サージクリニック「東京みみ・はな・のど サージクリニック」を、2020年2月には15院目の「そよかぜ内科」を開院するなど、積極的に分院を展開。また、中国・上海での定期的な出張診療を行うなど、活躍の場を海外にも拡大している。

医療法人社団 翔和仁誠会のWEBサイトはこちら

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