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翔和仁誠会流の分院展開戦略 ~勝利のための10ラウンド~

翔和仁誠会流の分院展開戦略 ~勝利のための10ラウンド~ Round 2

本院を繁盛させる「院長」と分院展開を成功させる「理事長」の違いとは

  • 労務・人事

2020.03.06

私は本院を繁盛させる「院長」と分院展開を成功させる「理事長」には、求められる能力や資質がまったく異なると考えております。なぜなら、本院を開業し繁盛させるということは「0(ゼロ)を1(イチ)にする能力」であり、分院展開を成功させるということは「1(イチ)を2(複数)にする能力」であるからです。つまり、本院を繁盛させる院長だからといって、分院展開が成功するとは限りません。

では、具体的にどのような違いがあるのか見ていきましょう。

本院を繁盛させる「院長」に求められる能力

1つのクリニックを繁盛させるためには、何よりもまずマーケットやロケーションの良い物件で開業することが重要です。私が33歳で開業した本院「たかまつ耳鼻咽喉科クリニック」は駅徒歩5分の立地ではありましたが、坂道を上ったところにあり、開業当初は集患に大変苦労しました。この経験から、現在は分院展開するにあたってターミナル駅の徒歩1分の駅前物件を基本的に選定するようにしています。この分院立地戦略については、今後別のRoundで詳しくご説明したいと思います。

次に、院長には臨床能力は当然のことながら、きちんとした診察ができるとともに、患者さんの心をつかむコミュニケーション能力を発揮してしっかり集患することが要求されます。それには、親切さや外見・ルックスも大切な要素かもしれません。

そして、地域の皆様に信頼・安心されるために、地道にコツコツやる力も重要です。さまざまな患者さんがいる中で逃げることはできませんので、辛抱強さや体力も求められるでしょう。ある意味、院長には「職人タイプ」の人が適していると言えます。また、日々の診療は毎日同じことの繰り返しとなりますので、マンネリに対するストレス耐性も重要なのだと思います(私にこのストレス耐性が不足していたことは、Round 1ですでに述べた通りです)。

分院展開を成功させる「理事長」に求められる能力

では、分院展開を成功させる理事長にはどのような能力が求められるのでしょうか。

まず、理事長に必要なのは「優秀な分院長を見つけることができる能力」です。分院の成功には、優秀な分院長が欠かせません。そのため、理事長には分院長を採用するための人脈やネットワークを持っているかが非常に大切となってきます。

そして、優秀な分院長を見つけたとしても、長く働いてもらわなければ意味がありません。そのため、理事長には優秀な分院長に長く働いてもらうための「求心力」や「人望」も不可欠です。これらがないと、分院長が別の法人に浮気したり、独立したりして離れていってしまい、せっかく立ち上げた分院の経営に継続性が保てず、法人として利益を確保できなくなってしまいます。

また、意外と重要になってくるのが「寛容さ(ゆるさ)」と「マメさ」です。医師は職人気質の方が多いので、自分のやり方や考えが固まってきてしまいます。特に、開業して本院が軌道に乗ってくると、自身の成功体験がすでにあるため、自分のやり方とは違う異質なもの、異文化への寛容さが失われがちです。

分院長に診察を任せるということは異種のものを受け入れることでもありますので、ある意味「ゆるさ」というものも大切になりますし、自分とは異なる分院長と継続してコミュニケーションを取り、お互いのフィロソフィーを近づける努力をする「マメさ」も必要となります。

理事長と分院長の関係は、男女の関係と似ているとも言えます。分院長と縁あって「付き合う」ことができても、その後はマメにきちんとフォローしないとそっぽを向かれるし、寛容さに欠けてギチギチに拘束しても嫌われてしまいます。男女の関係と同様、分院長を「口説いた」後も継続的なメンテナンスが必要なのです。

さらに、分院展開をすると、さまざまなトラブルや想定外の事態が発生します。そこで、理事長にはこれらのリスクを回避する力や、リスクに直面してもそれに対処する力も必要になってきます。また、日々刻々と変化(成長)していく分院展開では、変化に対するストレス耐性も必要なのです。

 

このように、本院を繁盛させる「院長」と分院展開を成功させる「理事長」では、求められる能力や人間性がまったく異なるため、本院が繁盛したとしても、理事長として分院展開が成功するとは限らないのです。まさしく、スポーツの世界でよくいわれる「名選手(名院長)、名監督(名理事長)にあらず」なのです。

しかし、医療経営ではスポーツの世界と異なる点もあります。それは、「名監督(名理事長)は名選手(名院長)でもなければならない」ということです。なぜなら、分院展開初期は多くの理事長がプレイングマネージャーです。そのため、本院が流行っていなければ(名選手でなければ)、医療面・経営面で分院長を説得することはできません。分院展開を成功させる理事長には、パラドキシャル(真逆)な性格・人間性を併せ持つことが要求されるのです。

次回は「分院展開を成功させる理事長像」について、もう少し深堀りをしてみたいと思います。

※このコラムは、2020年2月現在の情報をもとに執筆しています。

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執筆者紹介

高松 俊輔

高松 俊輔
(たかまつ しゅんすけ)

医療法人社団 翔和仁誠会 理事長

国立山梨医科大学(現山梨大学)卒業後、東京大学耳鼻咽喉科学教室に入局。国立東靜病院、都立府中病院、都立神経病院、社会保険中央総合病院などを経て、文部科学教官助手として東大病院に赴任。同病院では一般外来の他、鼻の専門外来、レーザー治療、顔面神経の専門外来を担当し、診察、手術、研究、後進の指導に従事する。2002年3月に東京都多摩市にて「たかまつ耳鼻咽喉科クリニック」を開院。2004年8月には「医療法人社団 翔和仁誠会」を設立し、理事長に就任。現在、京王線沿線を中心に東京・神奈川において耳鼻咽喉科、小児科、内科、皮膚・泌尿器科クリニックを運営。2019年11月には14院目となる西東京初の民間サージクリニック「東京みみ・はな・のど サージクリニック」を、2020年2月には15院目の「そよかぜ内科」を開院するなど、積極的に分院を展開。また、中国・上海での定期的な出張診療を行うなど、活躍の場を海外にも拡大している。

医療法人社団 翔和仁誠会のWEBサイトはこちら

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