医院開業コラム
クリニック経営者のための医療ICT活用メソッド 第12回
2019.05.15
診療スタイルが診療科ごとに異なるように、ICT化のスタイルも診療科によって違いが存在します。そのため、診療科の特性を十分に理解した上でICT化を行うことが大切です。前回に引き続き、今回は整形外科、眼科、産婦人科、精神科のクリニックを見ていきます。
<整形外科クリニックの場合>
整形外科クリニックは、レントゲン撮影が多い診療科であることから、レントゲン機器およびそれをデジタル化するCR・DR、画像ファイリングシステム(PACS)、電子カルテのトータルでの連携が重要なポイントです。これらの連携が十分でないと、機器それぞれに患者IDを打ち込む必要があり、手間がかかるとともに、患者さんの取り間違いなどのリスクが生じます。
また、整形外科は患者数が比較的多い診療科です。カルテ記載にかける時間があまり取れないため「スピード」を重視します。したがって、すばやく簡単に記載できる電子カルテが好まれます。スタッフの人数も他科に比べて多く、端末数が増える傾向があるため、タブレット端末などを活用してできるだけ端末数を絞り、価格を抑える工夫も重要です。
さらに、整形外科は医師の診察とは別に、物理療法や運動療法があります。その際にリハビリスタッフによるカルテ記載が重要になることが、他の診療科と比べ大きく異なる部分です。クリニックではこの機能を「リハカルテ」と呼び、その機能および運用が優れたメーカーが整形外科クリニックでは選ばれる傾向にあります。
<眼科クリニックの場合>
眼科クリニックは、眼底カメラやスリットランプなどの「検査画像」と、視力や眼圧計、レフケラ、視野計などの「検査数値」を取り込み、データを管理する必要があります。そのため、これらの画像や検査情報を、どのように電子カルテと連携していくかが重要です。
また、他の診療科では診察後に検査を行うのが一般的な流れですが、眼科の場合は基本的に検査をした後で診察することが多く、ワークフローが他科とは異なります。さらに、眼科はシェーマ(スケッチ)を多く書く診療科のひとつです。このスケッチについても、他の診療科と比べるとグラデーションを付けたり、色を変えたり、充実した機能が求めまれます。最近では、筆圧(タッチペンの圧力)によってグラデーションが変わる機能なども開発されています。
眼科は外部連携が多いことや、端末数が多いことによって、ICT化投資の総額が他の診療科に比べると高額になりがちです。 医院の運用に合わせて連携する範囲を限定し、端末数を絞るなど、価格を低く抑える工夫も重要になります。
<産婦人科クリニックの場合>
産婦人科クリニックは、まず産科を標榜するかどうかで、電子カルテに必要な機能が変わってきます。産科では周産期医療の対応が必要となるため、周産期に特化した機能が搭載されているかを確認することが大切です。 (さらに…)
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