医院開業コラム
分院展開を考えるクリニックのための “医師採用力” 向上委員会 第5回
2018.11.07
「良い先生」に来てもらうために、まずどんな準備をすべきなのか。今回は医師採用の各論ではなく、より本質的な採用のあり方について、組織の「ミッション、ビジョン、バリュー」をテーマに考えていきます。
先日、「クリニック経営講座・分院展開戦略」というセミナーで、分院展開のための“医師採用力”についてお話した際、参加された理事長/院長/事務長の方々から特に反響が大きかったのが、組織の「ミッション、ビジョン、バリュー(略してMVV)」についてです。MVVは、いったいどのように医師採用へ影響するのでしょうか。
【言葉の意味】
・ミッション(Mission):組織が果たすべき使命や存在意義
・ビジョン(Vision):組織の将来のありたい姿
・バリュー(Value):組織が持つ共通の価値観
昨今、企業ではMVVを定めることが一般的になりましたが、医療業界では法人も個人もまだまだこれからのようです。例として一般企業のMVVを見てみましょう。
(例1)ソフトバンクグループ株式会社
・ミッション:情報革命で人々を幸せに
・ビジョン:世界の人々から最も必要とされる企業グループ
・バリュー:努力って、楽しい
(例2)株式会社リクルートホールディングス
・ミッション:まだ、ここにない、出会い。より速く、シンプルに、もっと近くに。
・ビジョン:Follow Your Heart
・バリュー:新しい価値の創造、個の尊重、社会への貢献
(例3)株式会社セントメディア
・ミッション:人と企業をポジティブに変革するチェンジエージェント
・ビジョン:カテゴリー特化・インストアシェアNo.1
・バリュー:Believe in Your Possibility -可能性を信じる-
いずれもその企業の姿勢や考え方が分かる言葉が選ばれており、社外へのアピールだけでなく、社内で従業員が自らの行動を決めるための基準として機能しています。いわば組織の魂ともいえるMVV。この機会に身の回りの組織のMVVに関心を持っていただけると、よりその組織への理解が深まり、自院のMVVを定める際の参考にもなるのではと思います。
次に、医師採用への影響についてです。人材要件とは、医師の採用で「どんな先生が欲しいか」ということを指します。「とにかく良い先生が欲しい!」という気持ちは皆同じですが、それだけだと採用する側の自院のスタッフも、求人を依頼された紹介会社など社外の方も戸惑ってしまいます。もう少し採用する対象を狭められる情報を考える、それが人材要件です。
人材要件の一例として、我々紹介会社の担当がよく要望される「普通のコミュニケーションが取れる先生」という表現について見ていきましょう。
この記事をシェアする