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医院開業コラム

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ビジョンを具現化するクリニック創りの羅針盤

ビジョンを具現化するクリニック創りの羅針盤 第6回

ここだけは押さえたい! テナント選びのチェックポイント

  • 医院開業のポイント

2021.09.21

初めての開業に向けてテナントを探しているみなさんは、「こんなクリニックにしたい」「こんな患者さんに来てほしい」など、たくさんの夢や目標をもっていらっしゃると思います。

「テナント選び」は、それらを叶えるための第一歩と言えるでしょう。 「テナント選びに時間をかけても、クリニックが必ずうまくいくわけではない」と思われるかもしれません。しかし、少しでも実現に近づけるために、事前に知識をインプットし、押さえておいた方が良いポイントがいくつかあります。今回は、クリニックづくりのプロの目線で、それらのポイントを詳しく解説していきます。

 

立地、外観、テナント内の環境……患者さん目線で条件をチェック

まずは、クリニックに通う患者さん目線でいくつかの条件をチェックしていきましょう。

【チェック1】通いやすい立地にあるか?
「有名な施設に近ければ、多くの方に認知してもらえる」と考える方は多いでしょう。確かに、例えば幹線沿いで車の交通量が多い場所などは、認知度が上がりやすい傾向にあります。しかし、「認知度が高いこと」と「通いやすいこと」は別の問題。患者さんにとっては、自転車で通えたり、駅近であるといった「通いやすい」立地のほうが、条件として優先されることもあります。

また、「近さ」は実は実際の距離だけで決まるものではありません。距離はやや遠くても、気分的に近く感じることもあります。一般的に、テナントを借りるときは、高層階より低層階を選ぶといいとされています。しかし、エレベーターから遠くにあって歩く距離が長い2階のクリニックより、エレベーターを降りてすぐの4階のクリニックのほうが、初めて来る患者さんには近く感じるでしょう。また、駅近のビルでも、駅前のロータリーを大回りしなければいけない立地だと遠く感じるかもしれません。「患者さんがクリニックまでの距離をどれくらいに感じるか」ということは、テナント選びにおける大事な要素になります。

また、科目によっては「できるだけ駅の近くがいいけれど、あまり人目につかないほうが入りやすい」というケースもあります。例えば、精神科や美容整形外科、産婦人科などです。

【チェック2】外観や共有部の印象はどうか? クリニックに合っているか?
建物の外からは、ビルの外観とクリニックの看板しか見えません。そのため、建物の第一印象はクリニックのイメージに直結する重要な要素になります。もし、建物の外観が暗いイメージだったら……初診の患者さんは、安心してクリニックに入れるでしょうか?

また、ビルのエントランスやエレベーター、廊下など共用部分の雰囲気も大切です。単にきれいで明るい雰囲気かどうかだけでなく、診療科目やクリニックの診療方針とイメージが合っているかもチェックしましょう。

【チェック3】季節や時間帯を問わず快適に過ごせるか?
テナント内部をチェックする際は、一見しただけではわかりにくい季節や時間帯によって変わる環境変化まで確認しましょう。

意外に重要なのが、窓の位置や大きさです。例えば窓が西向きだと西日が当たり、室内がかなり暑くなる可能性があります。この場合は、遮光や断熱ガラスが適切に設置されているかを確認しましょう。断熱がしっかりされていない場合、空調の負担が大きくなり、電気の容量に影響が出てきます。

 

電気や給排水、空調換気などの建築設備は医療サービス品質に直結

建築設備とは、照明やスイッチなどの電気設備、水を流す水道設備、空調設備などです。これらは、「蛇口をひねれば水が出る」「換気扇を回せば換気ができる」といった基本的な機能を確認するだけでは不十分。以下にご紹介するように、目には見えない部分を含めてチェックしてください。

【チェック1】電気設備
最大のポイントになるのが、電気容量の上限です。確実に医療サービスを提供するために、安定した電力供給は大前提です。特に、MRIやCT、透析設備、X線設備機器など、容量に大きな負荷を与える機器の導入を予定しているクリニックでは注意が必要でしょう。

まずテナントが入っている建物の「電気種」が、高圧電力か低圧電力かを調べてください。高圧電力の場合は、建物に引き込む電気容量をある程度大きくできます。一方で、低圧電力の場合は引き込める限界値が49.9kVAと決まっています。

次に、自身のクリニックの電気使用量が、そのテナントの限界値に収まるかを検討しましょう。クリニックにあるすべての設備が、常に稼働して電気を使用しているわけではないはずです。時間帯によって使用量が異なったり、またX線設備などを使って瞬間的に大きな電力が必要となる場合もあるでしょう。そのあたりも考慮して、問題なく医療サービスを提供できるか確認してください。テナントの広さによって、使用電力が限界値ギリギリ、または超過してしまう場合には、内装会社を通じて電力会社と協議するのもひとつの方策です。

なお、十分な電気容量が確保されているクリニックビルでも、ビル全体の容量は決まっているため、他のテナントとの兼ね合いで制限がかかる場合もあります。「クリニックビルだから安心」というわけではありません。逆に、電気使用量が低いクリニックは、事務所ビルのテナントなどでも開業できるケースがあります。 (さらに…)

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執筆者紹介

  • 
安原 大輔
    (やすはら だいすけ)

    株式会社コンパス 設計部課長
    一級建築士・宅地建物取引士

    建築系大学を卒業後、設計事務所等を経て、“社会に貢献することのできる医療空間を計画する設計者でありたい” という強い想いから、入社。戸建、テナント、医療モール、介護施設等、医療に関わる設計を広範にこなす医療設計のスペシャリスト。一つひとつの案件を素敵で使いやすい空間にしたい。という細やかな視点でお客さまの夢の実現をカタチづくる。

     

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