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「クリニック」と「住宅」の違いとは

皆さまは「クリニック」と「住宅」の違いについて考えたことはございますでしょうか。もちろん、用途は全然違うのですが、工事として考えると「クリニックを建てる」≒「住宅を建てる」または「テナントを借りて内装しクリニックとして使う」≒「中古マンションを買って(借りて)自分好みにリフォームして住む」のと、「建てる・内装する」のは結局同じようなものとお考えではないでしょうか。

また、「住宅をメインとしている業者さんがクリニックを手掛ける」といったケースも多いと思います。そこで今回は、クリニックを作り続けてきた私たちが考える“クリニックと住宅の違い”について、これから開業をお考えの先生方にも知っておいていただきたいポイントを中心にお伝えしていきます。

住宅とクリニックでは費用構成に違いがある

住宅金融支援機構のデータ(注1)によると、2019年に建てられた住宅価格は全国平均で

・延床面積125.8㎡(38.05坪)3,454万円(約90万/坪)
 ※注文住宅の価格(土地含まず)

だそうです。

(注1)
https://www.jhf.go.jp/files/400353155.pdf

クリニックも、同様の面積で建てられる診療科目は多いです。地域や環境、診療科目によって異なりますが、同様の面積の場合、戸建てクリニックの費用イメージは木造で4,500万円(約120万/坪)前後とお答えしています。「お風呂もシステムキッチンもないのに、住宅より坪30万円も高いの?」と思われますでしょうか。

その理由について、これからお話しさせていただきます(実は、戸建てではなくテナント開業であっても、同じくらい費用がかかってしまうケースは珍しくありません。なぜなら、診療科目によって、またテナントでもクリニックモール、商業施設など、環境条件によって必要な費用は大きく変わってくるからです。これについては今回は触れませんが、今後のコラムにてお話しできる機会があればと思います)。

■坪単価や工事費用に含まれる内容の違い
一般的な住宅の建築費用は、本体工事と呼ばれる費用を指すと思います。内訳としては、建築費用(戸建ての場合)、内装工事費用、設備費用(電気、給排水設備、換気設備)などです。設計費用については、住宅メーカーであれば含まれることが多く、設計と工事が別であれば含まれません。

建築費用に含まれない別途工事費用としては、照明器具、空調(エアコン)、カーテン類、ガスや水道の引き込み工事などが挙げられます。しかし、クリニックの場合は、これら住宅では別途工事とされる項目も建築費用に含まれていることが多いです(戸建てかテナントかでも異なります)。

その理由としては、

・照明器具:お施主様が家電店で購入する照明ではなく、天井に埋め込む照明や業務用の照明、間接照明など建築化照明の割合が高い。

・空調:部屋の広さや効率を考慮して、お施主様が家電店で購入する壁掛形エアコンではなく、工事の際に一緒に設置する天井埋め込み機器を採用することが多い。

・カーテン:窓回りのカーテンは戸建てでは別途になることも多いが、ベッド回りや間仕切りのカーテンなど、インテリアショップやホームセンターで購入しづらいカーテンが多い。

・ガスや水道の引き込み:診療科目の特性によって引き込みが必要な容量が大きく異なるため、建築計画(テナントでは内装計画)時に併せて工事が必要なことが多い。

など、できあがった後から自由に選んで設置するのではなく、工事の過程で一緒に計画や設置が必要なものが多いためと思われます。これらの費用がクリニックの工事費に加わることから、単純に見積もりで上がってきた工事費用を面積で割った坪単価では、どうしても住宅よりも高くなる傾向にあるのです。

■工事費用の内訳割合の違い
では、本体工事の項目内訳はどうでしょうか。一般的に、戸建ての住宅の工事費用構成は以下の通りです。

・躯体工事(建物本体) 40%
・内装工事30%
→以上、建築工事で70%
・設備工事(電気給排水) 30%
※キッチン、トイレ、お風呂などのグレードも影響

このように、建築や内装が占める割合が高いです。しかし、クリニックの場合は建築と設備工事の費用割合が50%くらいと、設備工事の費用割合が高くなります。

これは先ほどの項目で説明した、設備工事のひとつである照明や空調工事が費用に含まれることが理由です。その他、診療科目によりますが、X線撮影器機やCTなど電気容量の大きな医療機器がある場合は電気設備など、トイレやシンクなどの水回りが多い場合は給水設備など、住宅に比べて大きな容量を必要とするインフラの整備が必要になってくることが挙げられます。

また、立地によっては、住宅より防災設備の費用がかかってきます。家族など特定の者が使用する住宅と違い、不特定多数の、しかも子どもやご高齢の方、体の不自由な方の来院が想定されるクリニックでは、消防法上、防災設備のグレードがかなり高く設定されているのです。上記以外にも、設備の費用割合が高くなる理由として、次の項目で説明する「クリニックの特性」によるものも大きいといえます。

目に見えにくい電気や防災設備、空調工事などが費用の半分を占めるということは、内装仕上げのグレードが価格に影響する割合も相対的に低くなるということになります。コスト検討の際に、よく先生方から「スタッフルームや院長室の内装は簡単でいいから」とお申し出をいただくのですが、頑張ってリーズナブルな材料にしたとしても、減額できる額はあまり大きくならないのがつらいところです。

住宅と異なる“クリニックの4つの特性”とは

ここからは、具体的に住宅とクリニックの機能的に異なるポイントについて、いくつかお伝えします。私が考える住宅と異なるクリニックの特性は、「どの診療科目にも共通する特性」として

①不特定多数の人間が使用する
②動線が違う

次に、「診療科目によって変わってくる特性」として

③使う医療機器によっては設備にお金がかかる
④見えないコストがかかる

の4つが挙げられます。

以下で解説する具体的な事例の冒頭に、該当するこの4つの特性を<①不特定多数><②動線><③医療機器><④見えないコスト>と付記しましたので、参考にしてください。

■ドアの違い <①不特定多数>
一般的な住宅の部屋のドアは、パナソニックや大建、LIXILなどのメーカーの既製品が採用されていることが多いです。既製品は工場生産で比較的安価な上に品質も安定しているため、クリニックの各部屋のドア(引き戸が多いと思います)に採用することもあります。ここで注意していただきたいのが「耐久性」です。既製品ドアの耐久性は、一般的にJIS A4702という規格で10万回の開閉試験が設定されています。この回数は、製品の使用期間の開閉回数を想定して定められています。

では、患者さんが使うドアの使用頻度は年間どのくらいなのでしょうか?1日40人の患者さんが来院する診察室を例に挙げると、

・1人2回(入室時と退室時)×40(人)×22(日)×12(月)=21,120回(年)

たった1年で2万回以上となり、約5年でJIS規格の10万回の開閉回数に到達します。患者さんは不特定多数であり、皆がドアを丁寧に扱ってくれるわけではないということも加味すると、住宅用の既製品ドアを診察室など患者使用の扉に採用した場合は、5年以降で故障リスクが高くなると想定されるのです。……想像より、ずっと使用頻度が高いと思いませんか?

実はコンパスでもクリニックを手掛けだした頃、コストダウンのために住宅用の扉を診察室に採用したことがあったのですが、3年経つ頃に次々と部品が壊れていき、設置したクリニックにご迷惑をおかけしたことがありました。それ以来、特に患者さんが頻繁に使う引き戸類は、木製(建具屋さんの造り付)、もしくはアルミや軽量スチール製の半自動の引き戸を採用するようにしています。

ただし、コストパフォーマンスも大切です。そのため、患者使用でも使用頻度が低い部屋や、スタッフルームなど使用頻度が住宅と大差ない部屋のドアは、積極的に住宅用既製品を採用しています。また、コストダウンで患者さんが使う扉にも既製品を使いたいという場合には、せめて住宅用の商品ではなく、それぞれのメーカーが出している高齢者住宅や公共施設向けの既製品を採用するようにしています。

■照明のスイッチの配置の違い <②動線>
ところで、ここで1つ質問です。以下の図のような配置の診察室があります。

この場合、診察室の照明のスイッチは、どちらに付けるのがよいでしょうか?

A:部屋の入口扉の横
B:部屋の奥

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