医院開業コラム
クリニック経営者のための医療ICT活用メソッド 第27回
2020.08.06
iPadやSurfaceなど、さまざまなスマートデバイスの利用が一般化しています。スマートフォン(以下スマホ)を含め、スマートデバイスは医療現場が求めている「簡単」「速い」「軽い」を兼ね備えているデバイスであると、大きな期待が寄せられているのです。そこで、今回はスマートデバイスの活用について解説します。
Apple社が初代iPad を発売した2010年から、10年が経過しました。その間にWindowsはSurfaceを発売し、AndroidのOSを搭載したタブレット端末が多く販売されています。
タブレット端末は、この10年で一気に普及しました。総務省の情報通信白書(令和元年)によると、2018年時点で主要デバイスは、スマホが79.2%、パソコンが74.0%、タブレット端末が40.1%となっています。この表からも、スマホとタブレット端末が急激に普及してきていることが分かります。
一般的に、スマホやタブレット端末などを総じて「スマートデバイス」と呼びます。医療分野でも、現場で使えることから長らく注目されてきました。その理由は、“スマートデバイスの操作性が医療機関のIT化を推進させること”が期待されるからです。スマートデバイスは、これまでPC操作に難色を示していた医療従事者の考えを変える可能性を持っています。
医療現場において、デバイスは①簡単であること➁持ち運びがしやすいこと③速いことなどが求められます。誰でも簡単に操作できるのは当然であり、“ながら作業”が多い医療現場では、小型・軽量であることや、立ち上がりが速いことにも好感が示されます。
そのため、パソコンに多くのアレルギーがあった医療現場にとって、スマートデバイスは「待ちに待った端末」として歓迎されたのです。では、医療の現場でどのように活用しているのか、具体的に見ていきましょう。
スマートデバイスの活用シーン① 電子カルテ
診療所の基幹システムである電子カルテでは、カルテ記載など入力作業が多い場合はパソコンで、カルテ・検査結果・指示箋の閲覧だけならタブレットで、というような使い分けが見られます。具体的には、看護師の病棟業務や透析室、検査室などで、タブレットが使われることが多くなっているのです。
スマートデバイスの活用シーン➁ 患者説明
医師はタブレットを患者説明用端末とし、電子カルテとは別に使っています。従来、電子カルテはインターネットにつなげないことが原則であったため、インターネットにつながるタブレットが重宝されたと考えられます。しかし、今後は電子カルテもクラウドの時代になり、電子カルテをインターネットにつなぐことが一般的になれば、電子カルテも患者説明もタブレットで行う時代が来るのは、それほど遠い未来ではないでしょう。 (さらに…)
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