医院開業コラム
クリニック経営管理術 vol.3
2020.07.03
クリニック経営を成功させている医師や経営管理担当者に、その“裏側”を聞く本シリーズ。今回は「くぼたクリニック松戸五香」の院長、窪田徹矢先生にインタビューを行いました。
クリニック立ち上げ当初から集患には困っていなかったとのことですが、約1年前に経営分析サービス『CLINIC BOARD(クリニックボード)』を導入して以降、より効果的な広告戦略を立てられたり、組織をさらに強化できたりといったメリットを実感しているそう。同院のこの1年間の変化について、詳しく伺います。
くぼたクリニック松戸五香は、新京成線五香駅から徒歩3分の場所にある地域密着型のクリニックです。思いやりのある医療の提供を目指し、患者さん一人ひとりの声に親身に耳を傾けることなどを理念に掲げて診療にあたっています。
科目としては、泌尿器科と内科、皮膚科の疾病に対応。中でも強みとなっているのが泌尿器科で、その患者さんの割合は全体の6割を占めています。同院が開業したのは2017年。当時の状況を、窪田先生はこう振り返ります。
「大変ありがたいことに、クリニック立ち上げ当初から多くの患者さんに来院いただき、幸いにも今日まで売上の心配をしたことはありません。スタッフも順調に増員しており、初めは4名だった社員が今では3倍近くの11名になりました。先日は法人化も行い、近い将来には分院の展開も検討しています」
スタートしてすぐにクリニック運営が軌道に乗り、今も右肩上がりの成長を続けていると話す窪田先生。その成功の裏ではどのように経営指標を管理、分析していたのかを伺うと、返ってきたのは意外な答えでした。
「実は、経営指標のチェックをかなり大雑把にやっていたんです。売上、患者数、診療単価あたりを何となく見るくらい。毎日の診療点数だけは朝礼などで確認していましたが、その結果を受けて何かアクションにつなげるということはありませんでした。それでも売上がしっかり確保できていたので困ることはなかったのですが、数字をきちんと追っていなかったことで、クリニック全体の雰囲気が“なあなあ”になっているとは感じていましたね」
そのような状況にいた窪田先生は、とある勉強会に参加し、株式会社エムティーアイが開発する経営分析サービス『CLINIC BOARD』に出会います。
「勉強会の中で、経営に役立つツールとして『CLINIC BOARD』が取り上げられていたんです。その紹介動画を見て、こんなに簡単に、かつ細かく経営指標を追えるのかと驚きました。当院を変える起爆剤になるのではと思い、すぐに導入を決めました。今から1年ほど前のことです」
『CLINIC BOARD』を導入するまで、経営指標は大まかにチェックするだけだったという窪田先生。導入後、具体的にはどのように変わったのでしょうか?
「これまでもチェックしていた売上や患者数、診療単価はもちろん、新患数やリピート率、患者さんの年齢分布なども確認するようになり、クリニックの現状を詳細に把握できています。中でも特に注視している指標が、患者さんの年齢層と疾病ごとの患者数ですね。これらを分析することによって、クリニックのターゲットが明確になるんです。その結果を受けて、広告戦略を検討しています。
例えば、現在は『YouTube』や『Instagram』『TikTok』などを通じた情報発信を積極的に行っていますが、当院のメインターゲットとなるのは高齢の患者さんです。最近は『YouTube』をご覧になる高齢の方も増えているものの、やはり医療講演などのオフラインのアプローチも強化しなければと感じました。あとは、過去の経験からいうとテレビ出演は反響があるので、積極的に依頼を受けたほうがいい、とか。将来を見据えて現在の広告手法は引き続き採用しつつ、幅を広げる準備を進めています」
また、同院が課題としている定期的な検査の実施や自費商品の販売状況も、『CLINIC BOARD』で管理しているそう。
「実は当院は、患者数がキャパシティに近づいてきています。そのため、増患よりも診療のクオリティーを高めること、具体的には検査や自費商品を勧めることで診療単価を上げていくことを目指しているんです。これまではあまり回数を気にしていなかったエコー検査を、3カ月に一度の頻度で提案する。広報スタッフが主体となって提案している自費商品(春夏は日焼け止めなど)を、より効果的な方法で患者さんにアピールする。そうした取り組みの結果を、『CLINIC BOARD』で確認しています」
このように『CLINIC BOARD』を活用することで、“どこに課題があるのか”が見えにくく、アクションを起こせずにいた現状を見事に打破。さらなる成長に向けて、一歩ずつ前進できていると窪田先生は話します。
同院では、『CLINIC BOARD』のデータを全スタッフが自由に閲覧できるようにしているそう。その効果について、窪田先生は次のように教えてくれました。
「ここ最近は新型コロナウィルスの影響で、当院に限らず、町のクリニックの患者数は目に見えて減少しています。これを受けて、現場のスタッフの多くは『給与が減るのではないか』『解雇されるのではないか』などと心配するものでしょう。そんなときにただ漠然と不安になるのではなく、患者数が実際に何人減っているのか、売上がどれだけあるのかを自分の目で確認できれば、必要以上に焦ることはなくなるはず。さらには、自分たちがどういう動きをすべきかを自発的に考える材料にもなると思うんです。スタッフに安心して働いてもらうためにも、組織の成長のためにも、経営データを公開することのメリットは大きいと思いますね」
そして最後に窪田先生にお聞きしたのは、『CLINIC BOARD』の今後への期待。蓄積したデータを生かして、未来に向けた提案をしてほしいと話してくれました。
「データを蓄積していくことで、“傾向”がつかめるようになります。それをもとに、来月や来年度の売上がどれくらいになるのか、患者さんの性質が変わるのかなどといった未来の動向を予測してくれたら、さらに頼もしいなと思います。『CLINIC BOARD』で10年先を見据えた経営ができるようになる……そんな進化を期待しています」
今までの電子カルテ・レセコンの集計機能では、自診療所の状況を十分に把握することが難しいと感じていました。 今まで把握できなかったり、把握するのに手間と時間のかかっていたりした自診療所のデータを、クリニックボードでは簡単に把握することが可能です。 また、重要指標を定量的に把握することで、診療所経営の改善施策を検討し、実行することが容易になります。
詳しくはこちらhttps://clinicboard.jp/
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